韓国・釜山で人口が30年で約60万人減り、空き家や未入居マンションが増え、若者は就職先を求めソウルへ流出している状況だという。ソウルは住宅価格が世界4位まで上がり、人口が集中し続ける一方、釜山は2050年までに高齢化率が50%を超える可能性があるとされ、「消滅危険地域」に分類された。
ソウル一極集中とマンション価格高騰
8月6日のイット!で、「日本の人口が過去最大の減少」と伝えたばかりだが、韓国も少子化による人口減少が深刻な問題となっている。

韓国第2の都市・釜山は韓国最大の港町として栄えてきたが、政府機関が「消滅危機地域」に分類し、衝撃が広がっている。
取材班:
アパートのあちらこちらの窓が割れています。
韓国第2の都市・釜山が今、「消滅の危機」に立っている。現地で何が起きているのだろうか。
取材班が最初に向かったのは、首都・ソウルの中心部だ。高層マンションが立ち並び、住宅価格の高騰が止まらない事態となっている。
2025年6月に発表された「世界物価マップ」では、ソウルのマンション販売価格がニューヨークやロンドンを抜いて世界4位になった。

2025年7月に販売が開始された、ソウル市内にある新築マンションのモデルルームを取材した。
取材班:
こちら3LDKの間取りで広さは84平米となっていますが、価格は1億6000万円を超えています。
ソウルのマンション平均価格は過去8年で、倍以上に急上昇した。それでも、新築の9割以上が半年以内に完売している。
背景にあるのが、首都圏への人口一極集中だ。
住民:
ソウルに住むしかないです。インフラが全部ソウルにあるので。
今や韓国の全人口の半分以上が、ソウル首都圏に暮らしている。
その反動で、地方は危機に瀕している。中でも韓国社会に衝撃を与えたのが、2024年6月に政府機関が発表した分析だ。

ソウルに次ぐ第2の都市・釜山が「消滅危機」に入ったという。取材班が現地を訪れると、ソウルとは対照的な光景が広がっていた。
取材班:
窓にはどこにもカーテンが付いていなくて、誰も住んでいないように見えます。
市内北部にある新築マンションは2024年7月に完成したが、住んでいるのはわずか2世帯のみだ。地方(ソウル首都圏除く)では、新築マンションの入居率は5割ほどしかない。
釜山の不動産仲介業者:
20年ほど前に新婚夫婦が10組いたなら、今は2〜3組しか来ません。かなり減りました。
釜山駅から車で10分ほど離れた、かつての街の中心地を訪れた。
取材班:
アパートのあちらこちらの窓が割れています。さらに建物の一部は崩れ落ちています。
まるで廃墟のようなアパートだ。かつては造船業で栄えたエリアだったが、現在は人口の空洞化が顕著になっている。
釜山は30年で人口が約60万人減少
空き家問題も深刻だ。

取材班:
植物で覆われていますが、住所が書かれていて恐らく住宅の扉だとみられます。
住民:
昔はこの町は人でいっぱいだったけど、だんだん年を取って。
釜山では、この30年で人口が約60万人も減少した。2050年までに高齢化率が50%を超える可能性があるとされ、「消滅危険地域」に分類された。

若者の流出も深刻になっている。市内にある釜山大学前の商店街は、かつて流行の発信源として若者で賑わったが、現在はスラム化が懸念されている。
取材班:
メインの通りから1本入ると、空き店舗が連なっています。
約10年前までは、洋服店などで賑わっていた通りだが、その姿は様変わりし、ほとんどが閉店した。
大学生:
就職を準備して職場を探してみると、ソウルしかない。

大学生:
できればずっと釜山にいたいですが、仕事で出て行くことになるのではないかと思う。
韓国では、全国228自治体のうち半数以上が消滅危機にあるとされ、韓国政府は政府機能の移転を検討するなど、地方分権の強化を目指している。
(「イット!」8月7日放送より)