徳川家康の次男、結城秀康によって1606年に築かれた福井城。明治時代に取り壊されるまで、そのシンボルとして親しまれていた坤櫓(ひつじさるやぐら)の復元工事が始まった。2029年度の完成を目指す。福井駅からも見ることができ、徒歩5分圏内ということもあり、県都のシンボルとなりそうだ。

明治まで城のシンボルだった坤櫓
福井城は明治以降、城門や櫓は取り壊され、外堀は埋められたものの、本丸の石垣や内堀は現存している。本丸には現在、県庁が建つ。
そのお堀にかかる橋の西側では、石垣の上に復元する坤櫓の工事に向け準備が始まった。
福井城の天守の南西にあり、物見や資料の保管に活用されていた坤櫓。高さは16メートル、木造3層構造で、1669年の大火で天守とともに焼失したものの、その後再建され、明治時代初期の廃城令で取り壊されるまで福井藩のシンボルだった。

福井駅から眺望も
県は地元の商工会議所や福井市とともに、2022年に県都グランドデザインを策定。その計画に基づき、坤櫓とその西側の土塀の復元を目指している。
7月からは、クレーンなどの重機を置くスペースを確保するため、お堀の水を抜くための作業が進められている。水を抜いた後は年内を目標に堀を埋め立て、その後、石垣の補強工事を行う予定になっている。

県の担当者によると、坤櫓は往時の規模を再現するため高さが16メートルあり、県内で一番大きな城郭施設に。「新幹線駅から見える城は全国的にも貴重なので、復元を楽しみにしてほしい」と話す。
完成すれば、福井駅からも眺望できるようになるという。

坤櫓と土塀の復元にかかる事業費は約40億円。県都のシンボルとするべく、2029年度中の完成を見込んでいる。
