季節外れの暑さが続く2025年11月初旬、鹿児島県枕崎市で驚きの収穫が行われた。建物のコンクリートから芽を出し、成長を続けてきた「ど根性スイカ」が、ついに実ったのである。
地元住民が見守る「ど根性スイカ」の成長
枕崎市桜木町の歩道にある一角。そこに人々が集まり、見つめる先にあるのは、建物のコンクリートから芽を出して成長した「ど根性スイカ」だ。この珍しいスイカを見守ってきたのは、永江久幸さん(81)とその妻ツヨ子さん(77)だ。
「大きくなって。何も肥料はやらないのにこんなに大きくなった」と永江さんはうれしそうに話す。
この不思議なスイカの物語は2025年9月、永江さん夫妻が営むさつまあげ店のコンクリート部分からスイカの芽が出ているのを発見したことから始まった。この珍しい光景は「枕崎のど根性スイカ」として、10月23日のKTSニュース番組でも取り上げられた。
愛情込めて守り抜いたスイカ
放送当時は直径約16センチの大きなスイカ1玉と、横に小さな「赤ちゃんスイカ」が3つあった。それから2週間が経過し、スイカはさらに一回り以上大きく成長していた。
カラスやタヌキから守るため、永江さん夫妻は毎晩ザルをかぶせるという工夫を凝らしてきた。「これを持って行ってかぶせて、夜は」と永江さんは説明する。その愛情と工夫が実を結び、ど根性スイカは無事に成長を続けたのだ。
待望の収穫と試食の瞬間
地元でも話題となったこのスイカは、11月6日、近所の人たちも集まる中、ついに収穫の時を迎えた。最も大きく育った1玉が選ばれ、包丁で切り分けられると、中からは鮮やかな赤い果肉が姿を現した。その瞬間、集まった人々から自然と拍手が沸き起こった。
スイカは一口サイズに切り分けられ、みんなで試食することに。その味は期待を裏切らなかった。
「おいしい!甘いです」「おじちゃんとおばちゃんの愛情がこもったおいしいスイカでした」地元の人々は笑顔で感想を述べる。
ツヨ子さんも「うんまかど!」と地元の方言で満足げに語り、久幸さんも「最高!」と手応えを感じた様子だった。

地域をつなぐ「ど根性スイカ」の今後
11月にもかかわらず夏のような日差しが照りつける中、みずみずしく甘いスイカに舌鼓を打った参加者たち。ツヨ子さんは「またできたら食べます。きょう食べられなかった人に食べさせます」と語り、コミュニティの絆を深める存在としても「ど根性スイカ」の価値を感じさせた。

思わぬところから芽を出し、困難を乗り越えて成長した「枕崎のど根性スイカ」。残る3玉も無事に収穫できるよう、地域の人々はこれからも見守っていく予定だ。
厳しい条件の中で育ち、多くの人に喜びを与えたこの「ど根性スイカ」の物語は、自然の力強さと地域のつながりの温かさを改めて感じさせてくれる出来事となった。
(動画で見る:コンクリートから芽を出し成長した「ど根性スイカ」 お味は「最高!」)
