名古屋のソウルフード「きしめん」が、近年の人気低迷を経て再び注目を集めています。夏にぴったりの冷たい「きしころ」を広めようと、街の店が連携してスタンプラリーを展開。すだちやわかめを添えた一杯から、鮮やかな青い出汁の個性派まで、多彩な進化を遂げています。

■名古屋めし『きしめん』復活へ…夏の名物「きしころ」が再び脚光
名古屋市東区の「みそ煮込みの角丸」の看板メニューは、もちろん味噌煮込みうどんですが、夏に人気の一品が手打ちのきしめんです。
茹でたあとに冷たい水でキュッと締め、気仙沼産のわかめに徳島産のすだちを添えた「すだちとわかめのきしころ」(1100円)は、さっぱりとした味わいで多くの人に愛されています。

「きしころ」とは冷たいきしめんのことで、今では暑い季節にツルっと涼しく食べられると人気メニューとなっていますが、以前はそうではありませんでした。
角丸・店主の日比野宏紀さん:
「だんだん廃れていった。多分一番底になったのが12年ぐらい前」
■“きしころ”を名古屋の夏の風物詩に…「きしころスタンプラリー」を企画
きしめんの衰退が課題となっていた2015年、日比野さんがまとめ役となり“冷たいきしめんが食べられる店を巡るスタンプラリー”「きしころスタンプラリー」を始めました。

日比野さん:
「『きしめん』というワードを皆さん知っています。でも、いつ食べたというと、3年4年食べていない。どこで食べたかというと、名古屋駅のホーム。それじゃダメだ、やはり、街のきしめん屋で食べてもらえばきっと良さがわかるだろうと」

現在は王道のきしころだけでなく、カレー味やみかわ牛を使ったものなど種類も豊富。今年は36店舗が参加しています。そんな中、名古屋市東区の「ちとせ屋」には他ではまず見かけないきしころがありました。

「ちとせ屋」の店主:
「これがブルーです」
青い液体を器に注ぎ、カツオベースの出汁を合わせて鮮やかな青い出汁を完成させます。冷水でしめたきしめんに、炒めた夏野菜やベーコンなどを盛りつけたその名も「ブルー」(1100円)です。

リポート:
「太麺ですけどツルっと喉に。スープは意外と普通の出汁の味にベーコンの香りがイタリアンぽい雰囲気があります」
青いスープの正体は、東南アジア原産のマメ科の植物「バタフライピー」。友人が飲ませてくれた青いお茶をヒントに作ったといいます。

女性客:
「色は衝撃。味の方がもっと衝撃。おいしい」
「ちとせ屋」の店主:
「きしころスタンプラリーの影響で、週末になるときしころは(通常時の)倍です」
ちなみに、冷たいきしころでスタンプラリーをした理由についてはー。
角丸の店主:
「冷たいほうが麺もしまってコシも感じやすいし、バリエーションをつけやすい」
スタンプラリーは5店舗まわるごとに400円のチケットがもらえます。始めた頃に比べて配布枚数は4倍の約500枚となり、わかっているだけでも2300杯以上売れた計算になります。

角丸の店主:
「作っても売れないから捨てるような時代があったのですが、今は間に合わないぐらいの量が出ています」
かつての低迷を乗り越え、今や“きしころ”は名古屋の夏の風物詩として多くの人に親しまれています。
2025年7月4日放送
(東海テレビ)