山口・宇部市で約1万2000世帯に被害が出ているガス漏れについて、元東京消防庁の警防部長・佐藤康雄さんとお伝えします。

――広範囲のガス漏れはよくあること?

元東京消防庁警防部長・佐藤康雄さん:
ガス施設は二重三重の安全対策が施されているので、私の現職の時もこういう経験がありませんし、大変驚きました。

4日午前4時ごろに宇部支店の管内でガスの圧力異常が発生したということです。

火事が起きた家の住民は「ガス栓を閉めて寝たが、朝6時ごろに物音で起きた。そうすると、ガスの元栓付近から10cmほどの火が上がっていた。消火剤などで消そうとしたが、火は消えなかった。そのあと子供が通報し、到着した消防により消火されたが、まさか閉めている栓から火が上がるとは驚いた」と話しました。

――この状況はどう見る?

元東京消防庁警防部長・佐藤康雄さん:
とても運が良かったと思います。火災が起きた時に、皆さんが目の前で起きているのでボヤで済んでいたが、いない時だと大きな火災に発展していると思います。

ガス漏れの原因といわれている「ガスの圧力異常」について、図で見ていきたいと思います。

普段、私たちが住んでいる住宅は安全に利用できるように、調整された圧力のガスが製造所などから来ています。

その調整された圧力のガスをお風呂や料理などで使っています。

佐藤康雄さんによると、このガスの圧力が高すぎたり低すぎたりしてしまうことを「ガスの圧力異常」といいます。

山口合同ガスによりますと、ガスの圧を調整している「ガバナ」という施設でトラブルが起きている可能性があるということです。

――「ガバナ」でのトラブルは、どういうことが考えられるか?

元東京消防庁警防部長・佐藤康雄さん:
機械そのものが具合が悪くなったことと、コントロールする電子関係の機器がおかしくなったことが考えられるが、今回の場合は機械的なトラブルではないかと考えられます。ここは本来、圧力の強いものを弱くして各家庭に送りますが、その機能がなくなったので圧力が強いまま各家庭に送られたということが一番考えられます。

――今回の圧力異常は、ガスの圧力が強くなりすぎたことが原因か?

元東京消防庁警防部長・佐藤康雄さん:
先ほどの住民のお話で、元栓は閉めたがそこから漏れてしまったというのがあったが、それは低圧用の機器の圧力基準を超えてしまったので、低圧コックでは止めきれない。パッキン等が破損してガスが漏れて引火したということが考えられます。

――広範囲のガス漏れは、全国で起こり得る可能性がある?

元東京消防庁警防部長・佐藤康雄さん:
こういうトラブルは考えられなくはないですが、ガス関係は非常に安全対策を二重三重にやっていてなかなか起こらないとは思います。

対策がとられているとはいえ、今回のようなことが起こる可能性もあります。

もし「ガス漏れかな」と思った場合は、ガスの使用をやめて火を使わないということや、窓を開けること、さらに、ガス栓などを閉めてメーター栓も閉める。

そして、ガス臭い場所からは離れることや、ガス事業者に連絡することなどがあります。

また、照明とか家具のスイッチは火花が出る可能性があるので切ったほうがいいということです。