石川県能登町宇出津で7月、2日間にわたって「あばれ祭り」が開催された。2025年は全36町会からキリコが登場し、町は熱気に包まれた。能登半島地震の影響で2024年は参加を断念した町会もある中、2年ぶりに祭りに参加した町会の思いを取材した。

「2年出さなかったらもうだめだと」

このうち仙人町では能登半島地震の影響で多くの住民が地元を離れ、約50世帯から3分の1ほどに減少した。町会長の室谷幸雄さんは「2軒あったのが更地です。ここ2軒残るだけ。ここもあのバツあるでしょ。あの家は全部解体する印です」と案内する。

仙人町 室谷幸雄町会長
仙人町 室谷幸雄町会長
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2024年は住民の減少と気持ちの落ち込みから、キリコの運行を断念した。「去年はこういう状態だったから、キリコ出そうとしても出せなかったんです。辛かったですよ。辛かった」

「去年は気持ちがもう先に沈んじゃって、住民は怖い、やりたくないというのがあって、これじゃあやっても無理だなって」しかし2025年は支援団体の力を借りながら町のキリコを動かすことを決めた。「2年キリコを出さなかったらもうだめだと。今年は無理してでも出そうと」

高さ5mのキリコが完成

祭りの前日、町内に住民たちが集まり2年ぶりに祭りの準備が行われた。住民からは喜びの声が聞こえた。「なんか懐かしい、懐かしいというか嬉しいですね。みんな祭りをしたいと言っていたので」

この日は住民のほか、祭りの支援団体から10人ほどの助っ人が参加し、住民とともにキリコを組み立てた。約2時間かけて仙人町のキリコが完成。高さ約5mのキリコが町内にそびえ立った。「ワクワクです。きょうみんな参加した皆さんの思いが今完成した。あばれますよ」

全町会が参加する完全復活

仙人町には祭りのため地元に戻ってきた住民たちや祭りの助っ人が集まった。室谷さんは「ワクワクします。みんなそうです。きょうとあすでこの喜びをぶつけたい」と期待に胸を膨らませた。

住民や助っ人など約40人がキリコを担ぎ、2年ぶりに仙人町のキリコが宇出津の町を練り歩いた。2025年のあばれ祭りは36全ての町会が祭りに参加。担ぎ手が不足する横町には県が募集するボランティア「祭りお助け隊」も参加し、再開を後押しした。大阪から参加したボランティアは「今回募集があったので参加しました。重いですけどやりがいというか、担いでる気分が嬉しいです」と話した。

「この祭りは絶やしたらダメ」

午後8時、広場のたいまつを目指し港からキリコが動き出した。激しく燃えるたいまつの火の粉が飛ぶなか、勇壮に舞うキリコに見物客からは感慨深い声が聞かれた。「仮設にいると中々来られなくて、どうしようかなと思ったけど見に来られて良かった」

能登に住む工事関係者は「去年は法被貸していただいて担がせてもらったけど、自分の中ではすごい楽しかったのでまたやっぱり参加したい。このお祭りなくしてほしくないですよね」と話した。2日間にわたって盛大に行われたあばれ祭り。多くの応援を背に住民たちが思いを一つに祭りを作り上げた。

室谷さんは「本当に嬉しい。この一言人数を集めて続けていきたい。この祭りを絶やしたらダメ。皆さんが参加して楽しんでずっと続けていくことがこの祭りの意義だと思う」と話した。

(石川テレビ)

石川テレビ
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