パラサイクリングの杉浦佳子選手、49歳(楽天ソシオビジネス株式会社)。

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2016年4月、45歳のときに趣味で出場したロードレース大会で転倒し、脳挫傷、外傷性くも膜下出血、頭蓋骨や右肩の複雑骨折、三半規管の損傷などの大ケガを負う。

杉浦さんは「『自転車には乗れないからね』って先生に言われた」と明かす。さらに、「最後に隣の選手と『頑張ろうね』って言ったところまでの記憶しかないんです。丸々一週間の記憶がない」と事故当時のことを振り返る。

恩返しをしたい

奇跡的に一命を取り留めた杉浦さんだが、脳の機能のうち、言語、記憶、注意、情緒といった認知機能に起こる障がい、高次脳機能障がいを負ってしまう。

事故直後は家族すらも認識できない中、彼女に残っていたのは自転車に乗る楽しさだった。

厳しいリハビリをこなし、2017年5月にはパラサイクリング国際大会(ロード)に初出場し、3位という快挙を成し遂げるが、「障がい者の中だったら勝てるだろうと思ったんです。そうしたら、全然勝てなくて、そこで火がついた」と明かす。

練習を重ねて挑んだ9月の世界選手権(ロード/C3クラス)で優勝。2018年には、アジア人初となるパラサイクリング最優秀選手賞を受賞し、東京パラリンピックでメダルを期待される選手に。

しかし、「今年であれば40代ギリギリで迎えられるパラリンピックだったんですけど、来年に延期になってしまうことで、私としてはもう無理かなと引退を考えた」と明かす。

それでも「本当だったら1回死んでいるから…。いっぱいいろんな人に迷惑をかけてしまったので、自分のことを考えちゃダメかな。恩返しをしないといけない」と思い直した杉浦選手は、来年の東京パラリンピックを目指して練習に励んでいるという。