「流通量は確実に減少するでしょう。現在日本における純国産ウナギの流通量は全体の2〜3割程度です。日本で流通しているウナギの6割程度が国外で養殖されたもの、4割の国産ウナギも、その3割から5割程度は輸入されたシラスウナギから養殖されています。
つまり、国内で流通する7〜8割が国外から輸入されたウナギであり、それらは規制の対象になります。流通量が減れば当然価格は上がるでしょう。その時、もはやスーパーで買う値段じゃないと思う人も出てくるかもしれません。ただ先を予測することは非常に難しく、国内の養殖業者と契約を結んでいる大手のスーパーや生協よりも、専門店の方が不利になる可能性もあります」
規制されても増えるわけではない?
全てのウナギがワシントン条約の対象になれば、世界一のウナギ消費国である日本の市場は大きな打撃を受けることが予想されるが、一方でウナギの資源保護の観点からは効果は期待できるのだろうか。

「消費が減少することはプラスには働くと思います。ただ、それだけでウナギの個体数が増えるとは言えません。また、規制に付随した影響がどんな形で出てくるかわからないところがあります。例えば、『どうせ規制されたから』と、ウナギの資源管理を諦めてしまう、国際的な取引がやりにくくなるなら国内資源をもっと獲ろうという動きにつながる可能性もあります」
さらに、「密輸」が増える可能性も指摘する。
「今は国の税関の記録からどのような取引がされているのかを調べることができますが、規制を受けて流通が地下に潜ることにより、それができなくなる可能性もあるでしょう」
ウナギを増やす方法に答えはない
ウナギの取引条件が厳しくなり消費が減ればウナギが増えるというような単純なものではないようだ。海部さんによれば、そもそもどうすればウナギを増やせるのか、いまだにわからないのだという。