米の高騰が続く昨今。家計の助けに、ふるさと納税の返礼品に米を選ぶ人も多いだろう。そこで気を付けたいのは保存の方法だ。
多めに入手した場合は常温で保存しがちだが、米の害虫である「コクゾウムシ」や「ノシメマダラメイガ」がわいてしまう要因にも。
食品害虫に詳しい農研機構食品研究部門主席研究員の宮ノ下明大さんは、「食べても健康に問題はない」としつつ、虫を発生させないためには、「密閉性の高い容器に低温で保存」「2カ月以内で食べ切る」「乾燥トウガラシを入れた場合は1カ月で交換する」という3つのポイントが大切だと言う。
米にわく虫について詳しく聞いた。
ある日“黒い虫”が大量発生
まず、米に虫がわいてしまい、捨てざるを得なかったという経験を持つAさん(東京都在住)のケースを紹介する。
4人家族のAさんはある年末、「子供も2人いるし、何よりお得だったので」と、ふるさと納税の返礼品として無洗米を選択。翌年の2月に到着した。

「少し多すぎるかな」と感じたものの、保存には気を配っていたという。未開封の袋は日の当たらない冷暗所で保存。開封した袋は都度米びつに移し替え、冷蔵庫の野菜室で保存していた。
しかし、梅雨明けの時期に悲劇が訪れる。ある日Aさんが新しい米袋を開けようとすると、袋の中で動く小さな黒い虫が大量発生しているのを見つけたのだ。

「米粒よりも小さい黒い虫で、袋の中で米を動かすたびにウヨウヨと大量に出てきました。未開封の米がたくさん残っていたのですが、その全てに黒い虫がいて、今でも思い出すと寒気がします」
ネットで調べたところ、“コクゾウムシ”ではないかと推測したAさん。「子供に健康被害も出てくるのでは」と、不安になったという。
梅雨に繁殖する「コクゾウムシ」
「状況からして、おそらくコクゾウムシでしょう」と宮ノ下さん。

成虫は茶褐色~黒褐色の身体で、前方に長く突出した象の鼻のような「口吻(こうふん)」を持ち、それを使って穀物に穴を開けて卵を産み込むのが特徴。冬は冬眠しているが、暖かくなると動きが活発になり、梅雨に繁殖期を迎えるという。
Aさんの事例では未開封の袋から見つかったが、いつ袋に入ったのだろうか。