また、グラフからわかるように、食後グループの血糖値は、運動開始後1時間30分にわたって低いままでした。

通常、食事をすると血糖値が上昇し、健康な人では食後1時間、糖尿病の人は食後2時間30分ごろにピークとなります。このうち1時間30分であっても血糖値の上昇を抑えることができれば、減量にも有効でしょう。

食後の筋トレは消化不良を招く可能性も(画像:イメージ)
食後の筋トレは消化不良を招く可能性も(画像:イメージ)

この実験で、食後グループは夕食の45分後に筋トレを開始しました。食べた直後は食べ物を消化吸収するために、胃腸に血液が集まっています。この状態で運動すると、血液を大量に筋肉に送ることになり、消化不良を招くからです。食後に運動する人は参考にしてください。

空腹時に運動する際の注意点

この逆に、空腹時に運動するのは、とくに血圧が気になる人は要注意です。朝起きて1~2時間後と、夕方から夕食どきは血圧が上がりやすいうえに、空腹のまま運動すると心臓に負担がかかるからです。

高血圧を治療中の人、血圧が高めの人、そして運動に慣れていない人は、これらの時間帯を避けるか、お腹に少し何か入れてから運動するのがおすすめです。

生活パターンは人それぞれ。運動する時間を自由に選べる人のほうが少ないと思いますが、できる日だけでも、早めに夕食を終え、一休みしてからの運動を心がけてください。

細切れ運動はおろか、部屋の掃除でも脂肪が燃えることからわかるように、日常生活には、「痩せるチャンス」がまだまだ隠れています。

『これをやめれば瘦せられる』(東洋経済新報社)
奥田昌子
奥田昌子

京都大学大学院医学研究科修了。京都大学博士(医学)。博士課程にて基礎研究に従事。生命とは何か、健康とは何かを考えるなかで予防医学の理念にひかれ、健診ならびに人間ドック実施機関でのべ30万人以上の診察/診療にあたる。海外医学文献と医学書の翻訳もおこなってきた。航空会社産業医を兼務し、ストレス対応を含む総合診療を続けている。著書に『これをやめれば痩せられる』(東洋経済新報社)、『欧米人とはこんなに違った日本人の「体質」』(講談社ブルーバックス)、『内臓脂肪を最速で落とす』(幻冬舎新書)など。