元締めから「よその座敷に呼ばれております」と伝えてもらうようにしたのだ。

義一は、大金を出すから他の芸者を代わりに行かせて自分の方にお蜜を寄越すように、と言ったが、 元締めも大したものできっぱりと断りを入れた。

これでお蜜も胸を撫で下ろしたが、 その安心も二、三日で潰えた。

義一が、お蜜の弟がいる店に圧力をかけてきたのである。

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【レシピ】牡蠣の茶漬け

物語の中盤に出てくる「牡蠣の茶漬け」。横山さんオススメは、ほうじ茶で食べることがポイントとのこと。 

横山起也さんが紹介する「牡蠣の茶漬け」
横山起也さんが紹介する「牡蠣の茶漬け」

■材料
・ごはん
・牡蠣の佃煮かしぐれ煮(または加熱用の牡蠣を下記の方法で煮る)
・薬味(小葱や山椒)
・ほうじ茶

■作り方
1)ご飯を椀に盛る。
2)牡蠣の佃煮(しぐれ煮)をご飯の上にのせる。ない場合は加熱用の牡蠣をミルクパンなどの小さな鍋にしきつめ、かぶるくらいに<酒・みりん・醤油・油>を<1:1:1>で入れて、煮汁が少なくなるまで焦がさぬように煮たものをつかう。煮るときに生姜をいれても。
3)沸かしたての湯でほうじ茶を入れ、椀に注いで小葱と山椒をちらす。お好みで牡蠣の煮汁や塩で味を調整する。
4)すすりこむ。

<江戸の茶漬けメモ>
江戸時代、「ほうじ茶」は買うものではなく、自分で茶葉を焙じてつくる「家のお茶」だったとのこと。現代でもフライパンなどで茶葉を焙じてつくれるのですが、良い香りがたちこめますよ。

『お茶漬けざむらい』(光文社)

横山起也
編み物作家/NPO法人 LIFE KNIT 代表/オンラインサロン『未来手芸部』部長/チューリップ株式会社 顧問/株式会社日本ヴォーグ社「amimono channel」顧問・ナビゲーター。著書に<編み物ざむらい>シリーズのほか、『幕末万博騒動』(KADOKAWA)や『どこにもない編み物研究室』(誠文堂新光社)がある。

横山起也
横山起也

編み物作家/NPO法人LIFE KNIT 代表/オンラインサロン『未来手芸部』部長/チューリップ株式会社 顧問/株式会社日本ヴォーグ社「amimono channel」顧問・ナビゲーター。2022年に『編み物ざむらい』(KADOKAWA)で小説家デビュー、第12回日本歴史時代作家協会賞「文庫書き下ろし新人賞」受賞。著書に<編み物ざむらい>シリーズのほか、『幕末万博騒動』(KADOKAWA)や『どこにもない編み物研究室』(誠文堂新光社)がある。