途端に未明の顔に血がのぼり、火照っているのに冷たい汗が噴き出てくる。穴があったら入りたい気持ちになりながら身を起こすと、お蜜が自分の口に手を当てた。

「あ、またやっちゃった!あたし、 思っていることがすぐ口に出ちゃうので、ごめんなさい。それより大丈夫ですか、月代が真っ赤になってますよ。 猿みたい。あ、いけない!……とにかく未明さまには相談に乗っていただきたく、なにとぞよろしくお願いします」

とってつけたようにまた平伏するその姿を見て、未明は深いため息をついた。

お蜜が未明にした相談は…

その次の日、未明はお役目を終えたのち、屋敷へ帰らずに湯島に足を向けた。

秋も更け、肌寒いくらいであるが、空は澄んでいて気持ちが良い。

しばらくしてもなかなか進まぬと思えば、知らずしらずのうちに手は顎をさすり、首を捻りながら歩いている。

もちろん頭を悩ませているのは昨日のことで、受けるか断るかしかないのだが、それを決めきれぬのは己の性(さが)なのだろう。

お蜜の相談は次のようなものだった。