「夏休み前だと、残り3か月弱で出願、4か月後にはテストです。日程的にはきついですが間に合います」

実際にAOI渋谷校では夏休み前から、高校3年生の入塾生が増える傾向にあるという。

メンター(左)と志望理由書作成にあたる受験生(AOI渋谷校)
メンター(左)と志望理由書作成にあたる受験生(AOI渋谷校)

「ただこの入試の本質は、自分の人生経験から『今後追究したいテーマ』を見付けて、それについてこれまでどういった活動をしてきたかを分析し、この先の課題解決のために『この大学のこの教授のゼミや研究室で学びたい』といった意欲や熱意をアピールするものです。

活動実績などを考えると、早く準備を始めた方が有利なのは確かです」

「テーマ」は身近な疑問で大丈夫

志望理由書を書くにあたっては、まず将来『何をしたいか』を決める必要がある。
すでに具体的な目標がある人は別だが、そうした学生は少数派だ。

そこで0歳から高校3年生までの人生を振り返り、「自分の強み」や「社会に対する疑問」などを自己分析し、大学での研究テーマに落とし込んでいくという。

(AOI渋谷校)
(AOI渋谷校)

「どの子にも得意な分野や興味はあるはずです。早い段階から将来を見据えて行動できている高校生は5%もいません。自己分析を重ねることで『感情が動いた』『このテーマは語れる』というものを見付ければいいのです。

例えば、『地域の商店街の活性化』をテーマにするなら『商店街の利用者の年齢層や行動パターンに変化はあるのか?』『デジタル技術を活用した商店街の活性化にはどのような事例があるのか?』などが問いになります。

もう少し身近な課題でも大丈夫です。文化祭で同じ委員会の男子が直前になるまで動いてくれないことに不満を感じたなら『なぜ動かないのだろう』を問いに設定して対策を考えます。

こうした問題は企業でも起こる社会課題ともいえるので、どうやったら動いてくれるのかをいろいろと試して建設的な解決策を考えてみることができます」

混雑する京都市内(画像はイメージ)
混雑する京都市内(画像はイメージ)

実際に合格した一例では、京都で増え続ける観光客と地元住民の摩擦をテーマに、地方創生や都市政策の研究を志望したケースがある。

中高一貫校では「探究」の授業を取り入れているところも多いので、そこで扱ったテーマを引き続き研究対象にするのも良いという。

まずは「自分の価値観(大切なこと)」「興味(好きなこと)」「才能(得意なこと)」の3つの要素を整理して、3つが重なる部分で「本当にやりたいこと」を見付けることが第一歩となる。