■改正前:
これまでは、土地を相続すると、不要な土地だけを相続放棄することはできませんでした。そのため、相続しても不要な土地は放っておかれて近隣の迷惑にもなっていました。
■改正後:相続土地国庫帰属制度の利用にはお金が必要
自分にとって利用価値のない土地を相続した場合、国に引き渡すことができるようになりました。ただし、そのためには相応の費用がかかるうえ、引き渡す土地に建物がないことなど厳しい条件があります。
来年4月までに新制度創設
所有不明土地を減らすために、政府も動いています。2026年4月までに創設される新制度を見て行きましょう。
新制度(1)所有不動産記録証明制度(2026年2月にスタート)
不動産の名義人になっている特定の人が、ほかに不動産を所有していないかを全国的に調査し、登記官が証明してくれる制度です。相続漏れの土地を減らすことにつながり、所有者不明土地を減らします。
新制度(2)住所等変更登記の義務化
不動産の名義人の住所が変わったら、2年以内に住所変更の変更登記の申請をしなければならなくなります。違反した場合は5万円以下の過料が科されます。2026年4月にスタートします。
新制度(3)公的機関との情報連携による住所等変更登記
法務局が定期的に住基ネットを照会し、住所等の変更があったら本人の了解を得て変更登記できる制度。ただし、生年月日など住基ネットの照会に必要な情報を法務局に提供しておかなければなりません。

監修:曽根恵子
株式会社夢相続代表取締役。相続実務士(R)。公認不動産コンサルティングマスター相続対策専門士。監修書に『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2025年版』、『子のいない人の終活準備』、『一番かんたん エンディングノート』(扶桑社)などがある。