任期満了に伴って6月1日に投票が行われる瀬戸内市長選挙は、新人同士の争いとなっています。人口減少が進む中、観光や産業振興に力を入れてきた現職の政策をどうするかが、大きな争点となっています。
山鳥の羽毛のような華やかな刃文から名前がついたと言われる国宝の備前刀、「山鳥毛」です。刀剣の里として名をとどろかせた瀬戸内市長船町でつくられ、戦国時代の武将、上杉謙信の愛刀として知られています。市が2020年に資金を募るクラウドファンディングで約5億円を集めて、岡山市の所有者から買い取りました。
当時、大きな話題を呼び、刀剣の里として再び知名度を上げました。今、日本文化に興味を持つ外国人観光客が増える中、市内でつくられた備前刀は観光コンテンツとして大きな武器となっています。
一方、産業振興でも新たな動きがあります。2024年、生活用品大手のアイリスオーヤマが、市営の産業団地に非常食やパックご飯をつくる工場や物流拠点の新設を発表しました。投資の総額は約200億円に上り、地元を中心に約160人の雇用が生まれる見通しです。企業の戦略を巧みに読み取ることで、地域の産業振興につなげています。
4期16年務める武久顕也市長は今期限りでの退任を表明。今回の市長選で16年ぶりに新しいトップが誕生します。2004年に3町で合併した際、約4万人だった人口は、現在、約3万6000人まで減少。人口減少を食い止めるために、これまでの政策を引き継ぐのか、新しい政策を打ち出すのか注目されています。
市長選に立候補しているのは、届け出順にいずれも無所属の新人で会社経営の黒石健太郎さん(41)、元瀬戸内市議会議員の廣田均さん(72)の2人です。
(黒石健太郎候補<無・新>)
「人口が減る中で財源が減るのは当たり前ではない。リーダーの方針1つで財源をつくりだせる。住民サービスをより充実させることができることを証明してきたのが武久市政だと考えている。基本方針を引き継ぎながら営業経験を積み重ね、経営経験を積み重ね、事業開発、創業支援の経験を積み重ねてきた。自分の人生の総力をかけて財源をつくり、雇用を形にすることを心から約束をする」
(廣田均候補<無・新>)
「人の痛みが分かる、地域に密着した庶民派の議員として頑張ってきた。マニフェストは瀬戸内市を守る。1つ目は地域を守る。明るい犯罪のない世界をつくりたい。社会をつくりたい。2番目に地場産業を守る。地元に密着して人の意見に耳を傾け、地に着いたこれからの政治をやっていこうと思う」
投票は6月1日に行われ、即日開票されます。