今、関心の高い話題を詳しく解説する急上昇ニュースのコーナーです。今回は最新の就職活動について。2025年も学生優位の売り手市場の流れが一段と強くなっているようです。担当は森岡さんです。

(森岡紗衣 記者)
2026年春に卒業する予定の大学生などの採用選考が政府のルールでは、6月1日に解禁されますが、実質的には、就職活動が終盤に差し掛かっている人も多いようです。

人材サービス大手のマイナビが発表した2026年春卒業予定の大学生の4月末時点での内定率はなんと70%でした。2024年と比較すると5.7ポイント増加、コロナ禍以降年々増加しています。

この背景にあるのが学生優位の売り手市場です。企業は優秀な人材を早く確保しようと採用選考の前倒しを進めています。実際の就職活動の現場を取材しました。

5月26日に岡山市で開かれた就職説明会。県の内外から多くの企業が集まり、学生に自社の魅力をPRしていました。人手不足を背景に学生優位の売り手市場が続いていて、企業は今年も人材確保に苦戦しています。

(採用活動を行う企業の担当者)
「(応募する学生が)少ないと感じる。目標人数に対してもまだ目標を達成できていない。」
「売り手市場になるので学生の母集団を形成するのにかなり苦戦している」

こうした中、多くの企業は優秀な人材を早い段階で囲い込む早期選考を導入していて、大学3年生の年明けには佳境を迎えます。では、学生はどんな企業を選ぶのでしょうか。

(就活生)
「社内の環境がどんな感じかが気になる」
「働きやすい環境がいい」
「住宅手当とか手当てがしっかりしたところで働けたら」

社内の環境や福利厚生を気にする声が多く聞かれました。就職情報サイトを運営するマイナビ岡山支社の小島俊平支社長によると昨今の社会情勢が影響しているといいます。

(マイナビ岡山支社 小島俊平支社長)
「長く安心して働けるための諸手当など制度面を重視する学生が多い。近年物価高なので給料の面を気にする学生は増えてきている」

少子高齢化で若手人材の確保が難しくなっていて、早期選考を導入する企業が増えています。このため今の時期に複数の企業の内定を持っている学生も多く、内定を出したからと言って必ずしも入社するわけではないといった状況も、売り手市場を加速させる要因の一つです。

この売り手市場が続くことで、より学生に選ばれるために福利厚生の見直しや、初任給の引き上げなどを行う企業も増えています。

企業が魅力度アップに取り組むことで、ある予想外の課題も見えてきました。

ここ数年、賃金の引き上げや福利厚生の充実など企業の待遇改善が進んだことで増えているのが、今いる職場より「もっと良い場所」を求める転職者です。

(マイナビ岡山支社 小島俊平支社長)
「賃上げで給料が(上がっているので)魅力的な企業が世の中に増えてきている。ライフプランを描くうえで自分の理想とするライフキャリアがある企業に転職する」

転職率を示したグラフを見てみましょう。コロナ禍以降高い水準で推移していることがわかります。

(マイナビ岡山支社 小島俊平支社長)
「少子高齢化による労働人口の不足、転職者が増加しているので現状の社員の数が減っている分より採用しないといけない人数が増えてきている。」

人を集めるための改革が離職者も増やす皮肉な結果に。人材の定着が次の課題です。

(マイナビ岡山支社 小島俊平支社長)
「長く安心して働けることが重要なので福利厚生やライフステージに合わせて多様性のある働き方ができる企業が人気を集めている。勤務地の確約など先々の見通しがつきやすいキャリアを描ける企業が人気を集めている」

賃金の引き上げや福利厚生の改善はもちろん大切ですが、それだけではは働き手は定着しない時代になっています。長く働きたいと思える「やりがい」や「働きやすさ」をどれだけ整備できるか、それが本当の意味での人材確保につながっていくのかもしれません。

岡山放送
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