日本の500円玉とよく似た、韓国の500ウォン硬貨。1990年代後半には国内の自動販売機に重さを調整した500ウォン硬貨を入れて500円と誤認させ、釣り銭を盗むという窃盗事件が相次いだ。新硬貨の発行や自販機の改良などにより、同様の事件を聞くことはなくなったが、30年が経ち、再びトラブルが起きているという。

ガソリンスタンドで支払いトラブル
トラブルが起きたのは、宮城県大崎市のガソリンスタンド。5月16日、店長が売上金を数えていると、見慣れない硬貨が出てきた。韓国政府が発行する500ウォン硬貨だ。価値は5月22日時点のレートで51.95円ほど。500円のほぼ10分の1の価値だ。

店に自動精算機はなく、支払いは現金のみ。客から直接受け取った硬貨の中に紛れ込んでいたとみられている。

ガソリンスタンドの店長は「ぱっと見ただけでは500円と勘違いしてしまう大きさと色合い。デザインも近いところがあったので、うちとしては間違って受け取ってしまったんじゃないか」と困惑の色を浮かべた。
500円と同じ大きさ かつては犯罪も
韓国の500ウォン硬貨は直径26.5ミリ。日本の500円玉と同じ大きさだ。かつてはこの類似性を悪用した犯罪が日本で相次いだ。当時発行していた500円玉より、わずかに重い500ウォン硬貨の表面を削ったり、ドリルで穴を開けたりして調整。自動販売機に500円玉と誤認させて、釣り銭を盗むという手口だ。

宮城県内でも1997年から2000年にかけて、店先の自動販売機やパチンコ店、郵便局の切手販売機など、あらゆるところで被害が相次いだ。

500円玉も自販機も進化
その後、500円玉は韓国ウォンと同じだった白銅貨から2000年、ニッケル黄銅貨に変更。2021年には現在のバイカラー・クラッド貨へと変更され、同じ大きさではあるものの、区別がつきやすくなった。さらに自動販売機の識別技術の向上により、変造硬貨による釣り銭窃盗事件を耳にすることは国内ではほとんどなくなった。

SNSでトラブル報告続出
だが、先述のガソリンスタンドと同様に「客から支払われた現金に500ウォン硬貨が紛れ込んでいた」と訴える声がSNSで相次いでいる。ガソリンスタンドの店長は「店が間違ってつり銭として500ウォン硬貨を渡してしまう可能性もある」として、対面で現金精算している店は注意した方がいいと呼びかける。

事件から30年近く経って再び起きた、硬貨トラブル。キャッシュレスで時々しか現金を使わないという人は特に注意が必要かもしれない。