子育てをしている女性の多くが無意識に植え付けられ、苦しんでいるのが「こうあるべき」という呪縛だ。

誰かに言われたわけではないけれど、「母親がそばにいるべき」「母親は子育てを優先すべき」などと思ってしまう。働いていたりするとよりその呪縛は強まる。

キャリアと組織戦略の専門家であり、二児の母親でもある森数美保さんも、「こうあるべき」に苦しめられた経験があるという。

著書『「何者でもない自分」から抜け出すキャリア戦略~やりたいことがなくても選べる未来をつくる方法~』(日本能率協会マネジメントセンター)。森数さん自身の体験も踏まえて、「こうあるべき」の呪縛から少しずつ抜け出せるのか、一部抜粋・再編集して紹介する。

キャリア継続を阻む「べき」「残像」

厚生労働省の「令和4年版 厚生労働白書―社会保障を支える人材の確保―」(2022年)によると、共働き世帯は7割にのぼります。とはいえ、女性がキャリアを継続するのはまだ容易ではない社会です。

時短勤務によって仕事の継続がしやすくなったとしても、キャリアとして積み上げていくことは難しくなってしまったり、そもそも保育園に入園することが叶わなかったり。

また、全国家庭動向調査(2022年)によると、家事の8割を女性がやっているそうです。女性が正規雇用の場合に絞ると、女性が家事の8割を担っている家庭が5割。女性が100%やっている家庭も、約1割あるといいます。

子育ての“こうあるべき”に縛られていない?(画像:イメージ)
子育ての“こうあるべき”に縛られていない?(画像:イメージ)
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女性のキャリア継続を阻む壁は他にもあります。それが、「こうあるべき呪縛」と「残像問題」です。

家族や会社としっかり話して万全の体制で復職したとしても、知らず知らずのうちに植え付けられた、「こうあるべき」に苦しむのです。

・子どもが小さいうちは、母親がそばにいるべき
・母親が家事や育児をメインで行うべき
・子どもが体調不良の時は、母親が迎えに行くべき
・母親は夜に外出や仕事の予定を入れるべきではない
・子どもより仕事を優先するのは自己中心的ではないか

自分と周囲のあるべき姿に重圧

これらの「こうあるべき」に縛られ、いつの間にか女性はプレッシャーを感じていませんか?