我が家の子ども達は2人とも、0歳の頃から保育園に通っていましたが、「そんなに働いて子どもがかわいそう」「子どもが小さいのに、なんでそんなに働くの?」と上司に言われたこともあります。
周囲の声に心を痛め、揺れることもありますが、さらに厄介なのは、何も言われていなくても、自分自身が作り出す「こうあるべき」に縛られて苦しめられたことでした。
(1)「残像問題」とは?
私は第一子の育休後、マネージャーとしてフルタイム復帰しました。復職前の面談で、「マネージャーを降りて、時短で復帰するよね?」と聞かれましたが、時短勤務にしても結局は仕事を徹底的にやってしまうだろうし、マネージャーを降りた後、「以前の自分の残像」に引っ張られてやりにくくなると感じました。

この「残像問題」とは、育休前に制限なく働けていた自分やマネージャーとしての役割を果たしていた自分の姿に引きずられる現象です。産休・育休前の自分を知っている人が周りにいるため、その記憶に縛られてしまうのです。
私のケースを用いて詳しく説明します。
以前の私は長時間働き、責任ある仕事をこなすことが当たり前でした。
しかし、育休から復帰した後は、子どもとの時間を確保しながら働く必要があります。にもかかわらず、職場の同僚や上司の頭の中には「以前の私」が残っており、「前と同じようにできるはず」「マネージャーとして期待している」と無意識のうちに求められることがあります。
周囲のそうした期待に応えようとすると、ワークライフバランスが崩れ、無理をしてしまうのです。
さらに厄介なのは、こうした残像を周囲だけでなく、自分自身も見続けてしまうことです。
「以前はこれくらいできたのに」「なぜ今の私は同じように働けないのか」と、過去の自分とのギャップに苦しむことがあります。自分が変わったのではなく、置かれた環境が変わっただけなので、「もっと頑張れるはず」と思ってしまうのです。