結婚、育児、そして介護などライフステージの変化はキャリアに大きな影響を与える。かつて女性の課題とされてきたが、今は男女問わないテーマだ。
なかでも子育て中の女性が育休から復帰する際の大きな悩みが、フルタイムか時短勤務かの選択だろう。
キャリアと組織戦略の専門家であり、二児の母親でもある森数美保さんは、仕事復帰後に育児との両立に悩み、9年在籍した会社を退職する決断をする。
自身の経験も踏まえて、ライフステージによるキャリアの影響について、著書『「何者でもない自分」から抜け出すキャリア戦略~やりたいことがなくても選べる未来をつくる方法~』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部抜粋・再編集して紹介する。
多くが時短勤務を利用しているが…
厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2021年)によると、子育て中の女性のうち、フルタイム勤務を選んでいるのは約3割で、7割以上が時短勤務を選んでいます。
特に、育休から復職したばかりの女性の多くが時短勤務制度(短時間勤務制度)を利用しているのが現状です。他の人も同じように時短を選んでいることや、慣れるまでは…という思いから選ぶ人も多いように感じます。
時短勤務制度は、育児との両立を支援し、段階的な復帰を可能にする重要な制度です。しかし同時に、キャリア形成において考慮すべき課題も存在します。

その一つが、「マミートラック」と呼ばれる現象です。
時短勤務を選択することで、重要な役割や成長機会が限定され、本来の能力や意欲が十分に活かせない状況に陥りやすくなります。
会社側の配慮と本人選択の結果ではあるのですが、元来仕事が好きでキャリアを諦めたくない人であればあるほど、この状況にストレスを感じる傾向があります。
収入にも影響する時短勤務
経済面での影響も見過ごすことはできません。