自分のキャリアの道筋を立てて、過去の経験を細かく整理しているときに「あれ…、取りえがないかもしれない」と落ち込むこともあるだろう。

キャリアと組織戦略の専門家である森数美保さんの著書『「何者でもない自分」から抜け出すキャリア戦略~やりたいことがなくても選べる未来をつくる方法~』(日本能率協会マネジメントセンター)は、過去からアプローチしてキャリア戦略を提案している。

“広く浅く”な経験をしてきたゼネラリストは、推せるスキルがないと悩むこともある。しかし、森数さんは「視点を変えればゼネラリストは強みで可能性がある」とする。

ゼネラリストのキャリア戦略について一部抜粋・再編集して紹介する。

実はゼネラリストが最強である理由

ゼネラリストが持つ強みとは、幅広い知識と経験を活かして、多様な業務に対応できる点にあります。

これまでやってきたこと(経験)を分解したものを「ピース」と呼びました。ピースがたくさんあればあるほど、描ける未来のバリエーションは増えます。ゼネラリストは、ピースを組み合わせて、様々なキャリア戦略を描くことができると言えます。

ゼネラリストであることは、特定の専門性がないということではありません。むしろ、多様なスキルセットを持ち、多くの場面で価値を発揮するポテンシャルを持っているといえます。

ゼネラリストにも強みがある(画像:イメージ)
ゼネラリストにも強みがある(画像:イメージ)
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例えば、ゼネラリストには次のような強みが備わっていることが多いのです。

・複数の経験から本質を見抜き、新しい状況でも適切な行動を取れる抽象化力
・様々な部門や立場の視点を理解した上で全体最適を考えられる俯瞰力
・異なる専門性を持つ人々の「通訳」となれるコミュニケーション力
・複数のタスクやプロジェクトを同時進行で管理するマルチタスク力

ただし、1つ注意が必要です。状況的にいろんな役割を担わざるを得なかったタイプの方は、その方がパフォーマンスを発揮しやすいのか、どれかに絞った方が価値を発揮しやすいのかを考える必要があります。

すなわち、次のキャリア選択において、その幅広い役割が自分のパフォーマンスを引き出すのか、それとも特定の分野に絞った方がよいのかを見極めることが重要なのです。