こうしてコタローくんの農園生活が始まった。基本は敷地内で自由に過ごしているため、気ままにパトロールしたり、外でのんびりしたり。

猫を飼うのが初めてだったという、松本さんも「僕がイチゴハウスに来ると、近づいて『にゃーにゃー』鳴いてくるんです。新鮮な可愛さを感じました」と話す。
被害がゼロに。看板猫としても活躍
そして、農園の様子にも変化が。
コタローくんを迎え入れた当初の頃は、イタチに“なめられていた”というが、2年ほどが経過して体が大きくなると害獣が入ってこなくなり、果実の被害もゼロになったそう。

松本さんが「1200平方メートルもの農園をたった一匹で守り切るようになった。猫の縄張りの力はすごい」と仕事ぶりに感謝するほどだ。

イチゴハウスの警備だけではなく、農園の看板猫としても働くコタローくん。ゴロンとしておなかを見せる“なでてのポーズ”で日々、イチゴ狩りに来たお客さんをもてなしている。
甘え上手で、特に女性によくなつくのだとか。
「女性の匂いや声が好みなのかもしれません」
コタローくんが紡いだお客さんとの縁
そんなコタローくんは今では、千葉、大阪、福岡など、遠方からもお客さんが会いに来るほど有名に。松本さんは、あるお客さんとのエピソードについても聞かせてくれた。

愛媛を旅行中に農園を訪れた、子供を望んでいた女性が、コタローくんを抱き上げたところその後に自身の妊娠が発覚。
「コタローくんを抱っこしたから、子供を授かることができた」と感謝の連絡があり、毎年、子供を連れて農園を訪れに来てくれるという。
「かぎしっぽが、お客さまも幸せも運んでくれたのかなと」