戸籍を集めて遺産を分配する人を確認し確定する「相続人の確定」。進め方やつまずきがちなケースとその対処法を司法書士の岡信太郎さんが解説する。
相続が発生し、戸籍集めに奔走していたにもかかわらず、途中でどうしていいか分からなくなり筆者のような司法書士のところに駆け込まれる方がいらっしゃいます。
死亡の記載のある戸籍を取得したがこれだけでは足りないと分かったケース、きょうだいの戸籍が取れずに止まってしまうケースなどそれぞれです。中には、死亡以外の戸籍も取得して金融機関に持って行ったが、“これではまだ足りない”と言われご立腹した依頼者の方もいました。
いずれにせよ、戸籍は漏れなく集めなければならない相続資料となります。
戸籍取得の進め方
まずは戸籍取得の進め方と近年運用され始めた制度について解説します。戸籍については、故人の出生から死亡までの連続した戸籍を集めていきます。
戸籍というのは、本籍地がある市区町村で管理されています。故人の本籍地を確認して、戸籍の請求を行うわけですが、“本籍地がどこか分からない”となることがあります。

というのも、普段使う住所と異なり、本籍地を確認する機会は少ないからです。ひと昔前であれば、運転免許証に記載されていましたが、現在では不記載となっています。
そこで、本籍地が分からない場合は、故人の住民票の除票を「本籍記載あり」で取得します。そうすることで、本籍地が明らかとなります。
本籍地が分かれば、死亡時の戸籍を取得します。その際に「出生から死亡まで」と伝えれば、同じ市区町村で取得できるものはすべて入手することができます。なお、本籍地の異動(転籍)や結婚・離婚などで戸籍のつながりが変わってくるので、その点は注意が必要です。