知らない“相続人”がいることも

そこで、遺産相続においては、故人の出生から死亡に至るまでの一連の戸籍を集めていくことになるのです。

戸籍が揃えば相続人が確定し、遺産相続を進めることになります。順調にいくこともありますが、家族によってはこのとき“まさか”が起こることがあります。

例えば、親が再婚しており前婚で子供がいることが判明。認知した子がいることが判明。養子がいたことが判明などなど…生前には聞かされていなかったことが戸籍を集める過程で明らかになることが実際にあります。

戸籍を集めて初めて知ることがある場合も(画像はイメージ)
戸籍を集めて初めて知ることがある場合も(画像はイメージ)

遺産相続の手続きを行っていくには、把握していなかった相続人がいたとしても相続人全員の同意が必要となります。遺言があるケースだと変わってきますが、そうでないときはあくまでも相続人全員が対象です。

相続人全員で話し合い、話し合った内容を遺産分割協議書という書類にまとめます。そして、協議書に全員が署名と実印の押印をしていきます。不動産の名義変更や預貯金の解約手続きであれば、押印した相続人の印鑑証明書も必要となります。

「〇〇とは連絡が取れない…」「〇〇は生前、故人が入院をしても見舞いにも来なかった…」と相続人の1人を除外して進めようとしても、それは無理な話ということになります。除外したい相続人がいたとしても、戸籍を見ればその人も相続人であることが一目瞭然だからです。

相続人と連絡が取れないケースも

遺産相続で困るのが、相続人の中に連絡が取れない人が出てくるケースです。

普通は、家族や親戚の間で連絡くらい取れるだろうと考えてしまうところです。筆者も司法書士になるまではそう思っていました。しかし、相続業務を多数担うようになり、「相続人の1人と連絡が取れないのだけどどうしたらよいの?」という相談を受けることがあります。

親と折り合いが悪くて若くして家を出ていった方、きょうだい間の仲がよくなくて連絡先を一切伝えていない方、海外で結婚し居場所がつかめない方など…。コンタクトを取るのに四苦八苦してしまうなどの事例は枚挙にいとまがありません。

相続人になる親戚と連絡が取れないことも(画像はイメージ)
相続人になる親戚と連絡が取れないことも(画像はイメージ)

1人でも連絡が取れなければ、その方の意向が確認できないので、相続人全員の合意が必要な遺産分割協議をまとめることができません。当然、押印をもらったり、印鑑証明書の取得を依頼することもできない状況が続いてしまいます。

それでは、このような場合はどうすればよいのでしょうか?