相続に必要になる「全ての財産の洗い出し」には、多大な手間がかかる。

親が元気なうちに確認しておくのが理想だが、うまく行く人ばかりではないだろう。

もし財産の所在を聞く前に親が亡くなってしまった場合、どうすればいい?

司法書士の岡信太郎さんが解説する。

(どのような専門家に頼ればいいかを知りたい場合はこちらの記事へ)

相続を“争続”にしないため、いつまでも終わらない相続にしないため、知っておいてほしいことがあります。財産の洗い出し方についてです。

その話の前に、まずは相続にはたくさんの資料が必要ということを認識しておきましょう。普段取ることがない資料を集めていくので、慣れない作業になる可能性があります。

財産に関する資料を集めるのは手間がかかる…(画像はイメージ)
財産に関する資料を集めるのは手間がかかる…(画像はイメージ)
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そもそも、遺産というのは、故人が一生をかけて築き上げてきたものです。生前に贈与したり、整理したりしていなければ、多岐にわたっているはずです。

もう一つ心に留めて頂きたいことが、相続手続きが終わるまで一定期間かかるということです。色々と問い合わせを行い、複雑な手続きを経なければならないことが出てくるのです。

では、具体的に何を集めるのかという点について見ていきます。

カード類から銀行を探す

集めるものは、主に2つに分かれます。

1つが財産に関する資料であり、もう1つが家族関係の証明に関する資料(戸籍)となります。家族関係の証明は別の機会に紹介するとして、ここでは財産に関する資料について触れていきます。

もし故人から何も財産について聞いていなければ、ゼロからのスタートとなります。まったく情報がなければ労力のいる作業となりますが、ゼロからでも財産を把握していくことは可能です。

遺品から財産に関するヒントが出てくることも(画像はイメージ)
遺品から財産に関するヒントが出てくることも(画像はイメージ)

遺品の中に、財産に関する資料が入っていないか確認しましょう。鞄や財布にクレジットカードやキャッシュカードがないか、といった具合にです。それらが発見できれば、口座のある銀行やクレジット会社が分かります。

鞄や財布から発見できなければ、机の引出しやタンスなどを調べます。保険証書や通帳など、色々とヒントになるものが出てくる可能性があるでしょう。

不動産は「登録識別情報通知書」

不動産については、登記済権利証(2005年からは「登記識別情報通知書」)がないか調べてみましょう。