その手に支えられた福くんは、笑顔も増していったが、元の飼い主は福くんの最期まで名乗り出ることはなかった。

「福くん」の最期を通して…

tamtamさんは、このエピソードをマンガにしようとした思いをこう語る。

「出会いは動物愛護センターの見学がきっかけです。そのときに保護された経緯を聞いて、こんなに手厚いケアをしてくれるんだ!と衝撃を受けました。それでマンガで描かせてください、とお願いしました」

『たまさんちのホゴイヌ2』(世界文化社)より
『たまさんちのホゴイヌ2』(世界文化社)より

福くんは最期をこの動物愛護センターで迎えた。tamtamさんは福くんの最期を通して、伝えたいメッセージがあると言う。

「福くんも、最期まで元の飼い主にお世話をしてもらいたかったと私は思います。ただ、多いんです。飼っていた犬や猫が年を取って手放されるケースが。人間みたいに福祉が整っているわけではないので、手間がかかるようになると大変になり手放す。そんな中でも、ケアして頑張ってくれている人たちがいることを伝えたかった」

新しい飼い主は未来を考えているか

「保護犬」や「保護猫」という言葉の認知度は高まりつつある。しかし、tamtamさんはまだ動物を飼うことや、保護された犬や猫が保護先で、適切な環境で暮らしているかどうかは課題があるとする。

だからこそ、一時預かりボランティアをするtamtamさんは、預かる犬や猫に「家庭を知ってもらう」ことに重きを置いている。それは、新たな飼い主のもと、一般家庭で暮らしていくことを想定しているからだ。

保護犬や猫の一時預かりボランティアをするtamtamさん
保護犬や猫の一時預かりボランティアをするtamtamさん

そこで重視しているのが「新たな飼い主」の見極め。「家族に迎えたい」とDMなどのメッセージが届いた後、お試し期間も踏まえながら、「本当に大丈夫か」を判断していくという。