2025年2月に不同意性交の疑いで、3月に捜査情報漏えいの疑いで書類送検された当時の鹿児島県警本部捜査2課長について、県警は4月22日付で警察庁長官官房付けへの異動を内示した。鹿児島県警で不祥事が相次ぐ中、組織の内部管理体制や、警察官個人の倫理観に対する関心が高まっている。
不祥事の概要と処分
2025年2月14日、鹿児島県警捜査2課長だった安部裕行警視(29)が知人女性に対する不同意性交の疑いで書類送検され、同日付で警務部付に異動となった。また3月12日には、安部警視が別の知人女性に対して捜査情報を漏えいした疑いで書類送検されていたことも明らかになった。
これらの事案については3月21日に不起訴処分となったが、県警は安部警視に停職1カ月の懲戒処分を下した。

4月15日、県警は安部警視を4月22日付で警察庁長官官房人事付けとする異動を内示した。県警は異動の理由について、「個人の人事に関し、その選定のプロセスについて答えることは差し控える」としている。

県警で相次ぐ不祥事
鹿児島県警では2024年度、県警の不祥事が次々に明るみに出た。4月には巡査長(発表時49)が情報漏えいの疑いで、警部(発表時51)が不同意わいせつの疑いで逮捕された。さらに5月には巡査部長(発表時32)が盗撮の疑いで逮捕。そして県警の最高幹部の一人であった前生活安全部長までもが、警察の内部情報を漏らした疑いで逮捕されるという異常事態に陥った。
地域社会への影響
安部警視は2018年警察庁に入庁し2023年から鹿児島県警に出向した、いわゆるキャリアである。県警本部捜査2課長という要職での不同意性交の疑いや捜査情報の漏えいは、警察官としての職務倫理に反する行為であり、県民の信頼を大きく損なう結果となった。
県警は2024年8月に再発防止策を発表し、改革推進委員会を設置したが、その後も不祥事が続き、警察組織全体としての信頼回復には課題が残る。
県民の安全と警察の役割
4月18日に開かれた、県内の警察署長が一堂に会する会議。県警の岩瀬聡本部長は「先般も幹部職員の非違行為が明らかになり懲戒処分を実施するに至った」と、安部警視の処分について触れ、「組織が大変厳しい状況にあるという強い危機感を持ち、組織再生のためにできることに貪欲に取り組んでいただきたい」と幹部職員らに引き締めを呼びかけた。
今回の事案を通じて、県民の間では警察組織の内部管理体制や、警察官個人の倫理観に対する関心が高まっている。県警には、この事案を教訓として、より強固なコンプライアンス体制の構築や、警察官の倫理教育の強化が求められる。同時に、地域社会との信頼関係を再構築するための取り組みが求められる。
(鹿児島テレビ)