「平均年収1400万円以上」。
高収入をうたう会社に入社し、待っていたのは相次ぐ「パワハラ」だった。

原告の元社員Aさん:日常的に暴力はあったヤクザの事務所かなと思うくらいの。
原告の元社員Bさん:睾丸を握る行為に関してはものすごい激痛で、本当に声が出なくて…そういうのは日常茶飯事でしたね。
信じがたい状況を訴える元社員たち。2人が勤めていた会社は、大阪市に本社がある電気機械販売会社の「ネオ・コーポレーション」。
会社のホームページでは、「自慢ではないですが弊社営業社員の平均年収は1,427万円」とうたっていた。
そこで「パワハラ」などを受けたという元従業員5人が慰謝料を求めて裁判を起こしていたことがわかった。
裁判の原告が録音した音声には、その一端を示す様子が。
原告が録音した音声:何当たり前のようにふざけたことを…死ねや、コラお前!

■「平均年収は1,427万円」うたった会社 元従業員が裁判を起こす
関西テレビの取材に応じたのは、40代の男性Aさん。9年勤めていた「ネオ・コーポレーション」を去年、退職した。
大阪市に本社を置く「ネオ・コーポレーション」は、電子ブレーカーの販売や設置を手掛ける会社で北海道から九州まで支店がある。
ネオ・コーポレーションを提訴 元社員Aさん(40代):(Q会社が入るビル前に来るのは何カ月ぶり?)1年ぶりくらいですかね。辛かった日々をどうしても思い出してしまいますね。
会社のホームページにうたわれていた、「弊社営業社員の平均年収は1,427万円」という高収入にひかれ入社したが、ことし3月ほかの元社員4人と慰謝料を求め会社に対して裁判を起こすことになった。

■独自の罰金制度:交通違反をすると罰金として歩合給がカット
裁判を起こすことになったのは、いくつものペナルティ=罰金制度や「パワハラ」だ。
<交通違反による独自の罰金>
ネオ・コーポレーションを提訴 元社員Aさん:入社して2~3年経ったときに交通違反のペナルティができたんですけど、まず(交通)違反者に関して前月の稼いだ歩合の100パーセントカット。
訴状などによると、基本給は当時月10数万円で給料の大半が営業成績に応じて支払われる「歩合給」。車の運転が多い業務の中、交通違反をすると罰金として歩合給がカットされたという。
ネオ・コーポレーションを提訴 元社員Aさん:(Qご自身も罰金は?)何回もあります一時停止とスピード違反。全部合わすと300万円くらいじゃないですかね。
ペナルティはこれだけではない。

■叱責は日常茶飯事 「ふざけたことを言いやがって死ねやお前コラ」
<罰金制度「ベンサイ」>
ネオ・コーポレーションを提訴 元社員Aさん:他には”ベンサイ”ですよね。
「ベンサイ」とは、営業担当者が顧客と結んだ契約がキャンセルになった際、給与から歩合分がカットされる仕組み。
キャンセルが重なると給与よりも「ベンサイ」が多くなる人もいたそうだ。

<日常茶飯事の「叱責」>
以下の内容は別の原告が録音した音声データだ。
原告が録音した音声:お前さ、10時から入って4時間半もかけて、何が『ゼロです』じゃコラ。きさまお前。
原告:はい申し訳ございません。
原告が録音した音声:何当たり前のようにふざけたことを言いやがって。死ねや、お前、コラ。
契約がとれなかった際、このような強い叱責が日常的にあったということだ。
■全裸の写真を強要 「上長にあたる人物から『全裸の写真を送ってこい』と」
Aさんと共に提訴したBさん。在籍時に数々のパワハラを受けたという。
その一つが、「全裸写真の強要」。
ネオ・コーポレーション元社員Bさん:(営業で)結果が出せなかった日がありまして上長にあたる人物から『全裸の写真を送ってこい』と求められてその日は免除していただいたが、また別のときに結果が上がらなかった日があってその時は『自身の性器の写真を撮って送れ』と言われ断り切れずに送ってしまった。
Bさんが送った写真は社内で拡散されたという。
さらに、同じ上司から連日、指導としてある暴力が。
ネオ・コーポレーション元社員Bさん:上長から睾丸をつかまれるといった暴力であったり本人はあまり力を入れてないって言うんですけど、ものすごい激痛で本当に声が出なくて。そういうなのは日常茶飯事でしたね。
Bさんはこうしたパワハラが原因で、適応障害などと診断され、退社することに…今後、元上司への刑事告訴も検討しているという。

■元幹部だった男性 「誰にでも言ってくるので、だから日常です」
元社員たちが訴える数々のパワハラ行為。取材班は元幹部だった男性に話を聞くことができた。
元幹部の男性(すでに退社):『ネオ・コーポレーション』の中の日常の一部です。罵詈雑言っていうんですか、誰にでも言ってくるので、だからあれは日常です。
元幹部の男性は「自分はパワハラ行為などはしなかった」としたうえで多くの管理職が部下に対し高圧的な態度をとっていたと証言した。
元幹部の男性(現在退社):(会社が)部下を怒りなさい、詰めなさいっていう感じなんですよね。詰めれない人間は上司失格という考え方『ネオあるある』って言って、支店長になった途端に態度が急変するっていう。それも全国、全部がそうです。

■「一方的な見解や認識による事実誤認があるものと考えております」と説明
元社員5人は慰謝料など総額1900万円の支払いを求めて提訴。
ネオ・コーポレーションはホームページで、「一方的な見解や認識による事実誤認があるものと考えております」と説明。
関西テレビが罰金制度やパワハラの事実関係を確認するためさらに回答を求めると、次のような回答があった。
(罰金制度について)
ネオ・コーポレーションからの回答メールより:当社としては、給与の天引きを行っているわけではなく、査定を実施して支給額を決定しているものと認識しております。
(パワハラについて)
ネオ・コーポレーションからの回答メールより:ハラスメントが当社の企業文化であるという実態は存在しません。

■現役社員は「いまもパワハラがある」と証言
しかし、現役社員は「いまもパワハラがある」と証言した。
ネオ・コーポレーション現役社員の男性:『事実無根であるとして戦います』と社員に向けて発信をしていた。働いている人からすればほとんど事実。パワハラの体制は全く変わっていなくて、契約が取れなかったり成績が上がらなかった社員に対して『殺すぞ!』だったり罵詈雑言、恫喝にあたるところは全く改善されていない。
今も残るというパワハラなどの実態。元社員5人がネオ・コーポレーションを訴えた裁判はいまも続いている。
(関西テレビ「newsランナー」2025年6月23日放送)
