2024年3月に警察の内部情報を第三者に漏らした疑いで逮捕された鹿児島県警の前生活安全部長・本田尚志容疑者(60)。弁護士を通じて、「本部長でなければ誰でもよかった。申し訳ないと思っている」とコメントを発表した。

県警のトップ 告発を全面否定

この事件は、本田容疑者が退職後の2024年3月に北海道の記者に文書を漏えいした疑いで5月31日に逮捕されたもの。

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関係者によると、文書には「前の刑事部長が警察官の盗撮事件を静観するよう指示した」という趣旨の記載があったという。
しかし逮捕後の6月5日に開かれた勾留理由開示請求で、内部の不祥事を隠ぺいしたと名指ししたのは、前の刑事部長ではなく、県警のトップ・野川明輝本部長だった。

名前が挙がった野川本部長は、6月7日に会見を開いてこの告発を全面否定し、前の刑事部長も8日、県警を通じ「盗撮事件は全く知らない。静観しろと指示したこともない」とコメントを発表した。

「本部長でなければ誰でもよかった」

なぜ本田容疑者は異なる告発をしたのか。6月10日、弁護士を通じてコメントが発表された。

この中で本田容疑者は「本部長の隠ぺいを知っているのはごく少数の人間。記者が本部長に取材すると書面を送ったのが自分と分かってしまうかもしれないと思い、野川本部長ではなく前の刑事部長に変えた」としている。

野川本部長
野川本部長

その上で「書類を送った記者が警察内部の事情に詳しい人に取材してくれれば、隠ぺいを指示したのは刑事部長ではなく、本部長であることは分かってくれるだろうと思った」とした。

また、前の刑事部長を選んだことについては「本部長でなければ誰でもよかった。申し訳ないと思っている」と話している。

関係者によると、文書には前の刑事部長が警察官の盗撮事件を静観するよう指示したという趣旨の記載があったという。本田容疑者と県警側で続く主張の食い違い。
一日も早い事実の解明が待たれるところだ。

「組織にプラスはない」捜査資料廃棄促す

また、鹿児島県警が2023年10月、警察内部に向けて配布した文書の中に、「組織にとってプラスはない」などとして、捜査資料の廃棄を促す内容の表現があったことが分かった。

不適切な表現が確認されたのは刑事企画課が警察職員に配布している「刑事企画課だより」。
これは法令改正の周知や不適切な事案が発生した際の再発防止などの目的で、警察官に必要に応じて作成・配布されるもの。

警察によると、2023年10月に配布した文書に「再審請求などにおいて送致していなかった書類が露呈する事案が発生」「再審や国家賠償請求などで組織的にプラスになることはない」という記載があったという。

捜査資料の廃棄を促す内容ととれるもので、再審や国賠請求で書類が開示された際、捜査機関に不利に働くことを防ごうとした疑いがある。
県警は、この文章が文書管理に関して誤解を与えかねない表現と認め、翌11月に内容を改めたものを配布したということだ。 

県警は、この時の「刑事企画課だより」は保存期間が過ぎたことを理由に既に廃棄したとしていて、「再審請求などが提起された場合は、必要なものは廃棄せずに保管・管理する必要があると認識している」としている。

(鹿児島テレビ)

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