福岡・筑後地方のイチゴ農園などで農業用ハウス用の銅線が盗まれる事件が多発している。その大胆な手口からみえる犯人像とは?

バッサリと切断した痕が…

のどかな風景が広がる広川町。福岡県の南部に広がる田園地帯だ。“銅線窃盗”事件の現場となったのは、イチゴを栽培する農業用ハウスだった。

この記事の画像(10枚)

8月1日の早朝、農園の小林栄一さんが異変に気付いた。「切断面はここです。バッサリ。『番線カッター』で切ったんだろうと思います」と話す小林さん。ハウスのなかを囲むように設置していた銅線8本が切断され、盗まれていたのだ。

盗まれた銅線の長さは、合わせて100メートル以上。デリケートなイチゴ栽培には欠かせない、ハウス内の照明や暖房に使うものだが、9月からの植え付けを前にしたいまの時期は、電源を切った状態だった。

小林さんは「農機具とか脚立とかたまに盗られていたが、銅線は初めてです。電気工事代は、いまから手出ししないといけない痛手です。何十万か要るもん」と怒りと戸惑いを口にする。

同様被害が近隣エリアで13件発生

同様の被害は、小林さんの農園から5キロほど離れた八女市立花町でも起こっていた。八女市のイチゴ農家でもハウス内の銅線が、バッサリと切られ、約20メートルの銅線10本が盗まれていたのだ。

小林さんの農園から約5キロ離れた八女市立花町でも同様の被害が…
小林さんの農園から約5キロ離れた八女市立花町でも同様の被害が…

農園の古賀洋平さんが被害に気付いたのは7月31日。隣の同業者からの連絡がきっかけだった。

「同業の知人から朝方、連絡があって『自分の家の配線がなくなっている』と。『古賀君の家も確認した方がいいよ』と言われて調べたところ、自分の家もなくなっていることに気付いた」と古賀さんは当時のようすを語る。

実は、2025年5月から8月1日にかけて、広川町と八女市の一帯にある果物農園で、同様の被害が13件発生しているのだ。

「防犯カメラは、特に対策は何もしていなかった。電気の配線をまさか盗られるとは思っていなかった」と話す古賀さん。13件とも現場周辺に防犯カメラの設置はなかった。

警察では、換金を目的とした複数人の同一グループによる犯行の疑いもあるとみて捜査を進めている。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
テレビ西日本

山口・福岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。