コーヒーや紅茶などに含まれる“カフェイン”には依存性があることをご存じだろうか。薬物依存治療の第一人者である精神科医の松本俊彦さんにその作用と弊害、依存性について解説してもらった。
カフェインは、私たちが日ごろ口にする様々なものに入っています。
飲み物ではコーヒーをはじめ、緑茶や紅茶などのお茶類、ココア。コンビニなどでおなじみの栄養ドリンクやエナジードリンク。
一部の清涼飲料水や、意外なところでは果汁100%のジュースに添加されていることもあります。

食べ物で含まれているのは、チョコレートやチョコ系のアイスなど。
それから市販薬の風邪薬や鎮痛薬にもカフェインが配合されています。
これほど様々な飲料や食品にカフェインが含まれているのには、その性質が関係しています。
“本能に逆行”する性質
カフェインには、眠気や空腹を感じにくくさせる、意欲を増進させるといった作用があります。仕事中にコーヒーや緑茶・紅茶などのカフェイン入りのお茶などを飲むと「はかどる感じ」がするのはそのためです。

一方で、カフェインの弊害は、疲れていても眠れなくなる、本当は空腹なのに空腹を感じにくくなること。作用と弊害は背中合わせなのです。
疲れれば眠くなり、エネルギーが枯渇すれば空腹を感じる。カフェインは、こうした人間の本能に逆行する性質を持っているとも言えますね。
カフェインの「依存性」
カフェインと付き合っていくうえで覚えておきたいのが、カフェインを常に摂取していると、体がクセになり、量が増えていくということです。同じ効き目を得るには、量を増やしていかないといけないのです。
以前は試験前に夜遅くコーヒーを飲むと徹夜できたのに、連日それをやっていたら、コーヒーを飲んだあとに寝落ちてしまった…なんていう経験はありませんか?
そして、急にやめると不快感や頭痛などが出る場合があるというのも特徴です。これを専門用語で「離脱症状」といいます。
つまり、カフェインは「依存性薬物」なのです。