日々、まったくストレスを感じずに暮らしているという人は少ないだろう。しかし、そのストレスを「仕事だから仕方ない」「自分さえ我慢すれば上手くいく」などと耐え続けると、心身へのダメージが蓄積して、すぐには回復できない病気に至ることがある。どうすれば、その前にうまく対処できるのだろうか?心療内科専門医のもりしたクリニック院長、森下克也さんが解説する。
ストレスの正体
「ストレス」という言葉は、日常会話でも気軽に用いられる、ありふれた存在です。しかし決して、軽視してはいけません。ストレスの正体は、外部刺激によって自律神経の過緊張(ストレス反応)が起こること。
自律神経とは、私たちの身体機能を調節する役割を担う存在で、戦闘状態を作る交感神経と、リラックス状態を作る副交感神経に分けられます。ストレスを受けると戦闘状態を作る交感神経が刺激され、抗ストレスホルモンが分泌され、緊張状態になる。ストレスは、確実に体へ影響を及ぼす存在なのです。

ストレスをもたらす「外部刺激」というと、上司からのハラスメントや友人とのケンカなど、ネガティブな出来事を思い浮かべる人は多いでしょう。それらはもちろんストレスには違いないのですが、こうした出来事とは対照的なポジティブな出来事、例えば昇進や入試の合格なども同様にストレスとなるのをご存知でしょうか。「がんばるぞ!」と意気込むことも、体にとっては交感神経の過緊張をもたらすストレスなのです。
ストレス反応の3段階
意欲たっぷりに物事に取り組むこともストレスなのですから、ストレス自体は完全な悪物ではありません。大事なのは、ストレスを受け続けないことです。
ストレスを受けたときの体の反応は、次の3段階に分かれています。