カフェインを継続して摂取していると耐性ができていき、だんだんと効きが悪くなってくるという。頼りすぎる弊害と上手な付き合い方は?薬物依存治療の第一人者である精神科医の松本俊彦さんに解説してもらった。

仕事が立て込んでいるときは、カフェインの多いコーヒーやエナジードリンクに頼ってしまうという人もいるでしょう。

私の所属している国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所でも、年度末の報告書を作らなければならない時期は、ゴミ箱がエナジードリンクの缶でいっぱいになっています。そして何を隠そう私自身もカフェインに頼りながら無理して仕事をしてきた一人です。

しかし、こうした働き方はお勧めできません。なぜなら、カフェインに頼りながら仕事を続けていると、いつも疲れが取れない状態になってしまうからです。

眠気と疲労の“負債”が溜まる

カフェインには眠気を抑えて、意欲を増進させる効果があります。

ただし、本当に元気になっているわけではありません。あくまで眠気と疲労に“覆い”をかけているだけ。

「アデノシン」という眠気をもよおす物質が増えても自覚させないようにしているだけで、アデノシン自体が減っているわけではないのです。

だから、カフェインが切れて“覆い”が取れた時、溜まりに溜まった眠気と疲労がどっとやってきます。カフェインで頑張ってしまったら、カフェインが切れたあとにその“返済”を迫られることになるのです。

カフェインは眠気や疲労を取るわけではない(画像はイメージ)
カフェインは眠気や疲労を取るわけではない(画像はイメージ)
この記事の画像(6枚)

その時、いつもより長く睡眠時間を確保できたらいいのですが、いつもと同じだと疲れが取れません。

朝起きて疲れと眠気が取れないから、またコーヒーやエナジードリンクをがぶがぶ飲んで覆い隠す…。これを連日続けていると、いつも疲れが取れない状態になります。まるで眠気と疲労の“多重債務者”状態ですね。

次第に負のループに

カフェインには依存性があるので、だんだんと量が増えていきます。