5年前の7月豪雨で被災し、いまもなお一部区間で運休が続くJR肥薩線について、熊本県とJR九州は3月31日に八代-人吉駅間を鉄道で復旧することで『最終合意』した。翌日にはJR九州の古宮社長が熊本県庁を訪れ、木村知事と合意書を交わし、2033年度の運行再開を目指している。

「これはスタート、壮大な物語の始まり」

『最終合意』から一夜明けた4月1日、熊本県庁には木村知事と一緒にJR九州の古宮洋二社長の姿があった。

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木村知事は「鉄路での復旧の合意にたどり着いたことを本当にうれしく思う。しかしながら、これはスタート。これから肥薩線を『リボーン』新たに生まれ変わらせる壮大な物語の始まり」と話した。

2020年7月豪雨で線路や橋が流されるなど甚大な被害を受けたJR肥薩線は、八代駅と鹿児島・吉松駅の間で現在も運休が続いている。

国と熊本県、JR九州の3者は検討会議を設置し、八代から人吉までのいわゆる『川線』の鉄道での復旧について協議を重ねてきた。

3月31日に非公開で行われた検討会議で、熊本県が15ある駅のうち、『瀬戸石』『海路』『那良口』の3駅を廃止する案を提示。JR九州は駅の廃止案と熊本県の『復興アクションプラン』について受け入れる姿勢を示し、両者の間で鉄道での復旧について『最終合意』したという。

木村知事と古宮社長が合意書取り交わし

これを受け、4月1日午後、熊本県庁では木村知事と古宮社長が最終合意書を取り交わした。

JR九州の古宮社長は「肥薩線は本当に景色がいいところ。その景色を失うことなく、もっといい肥薩線に復活させて持続可能な肥薩線にするために、今後とも地元の人々と尽力したい」と述べた。

また、木村知事は「鉄路での再開がセットになることで、まちづくりとも絡めた話を地元が真剣に考えられる状況になったので、非常にいいスタートラインに立てた」と、豪雨からの復旧・復興に期待を寄せた。

木村知事と古宮社長は会談の中で、2024年4月に現役を引退した観光列車『SL人吉』に触れ、『復興アクションプラン』が示す、新しい観光列車の導入にも意欲を示した。

熊本県の『復興アクションプラン』では、今回、最終合意した八代-人吉駅間について、2033年度中の運行再開を目指すとしている。

一方で、見通しが立っていない人吉駅と鹿児島・吉松駅の間のいわゆる『山線』について、木村知事は協議開始に向けて、鹿児島県と宮崎県の両知事へ働きかけたい意向を示した。

(テレビ熊本)

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