消費者にとってはありがたい話だが、Netflixはこんなに良心的な価格設定をしていて大丈夫なのだろうか。しかしながら、どうやらその心配は杞憂のようだ。同社の2023年通年の売上高は337億ドル(約4兆9900億円)、純利益は54億ドル(約8000億円)(※1)。
Apple to Apple(※2)の比較にはならないが、日本で映画館を運営している東宝は、2024年2月期(2023年3月~2024年2月)で営業収入2833億円、当期純利益は453億円(※3)とのことだから、いずれにせよNetflixの料金が安すぎるのではという懸念は大きなお世話だというべきだろう。
“面白い”映画はむしろ敬遠される
さて、ユーザーとしては、毎月定額をNetflixに支払っていれば、作品を2本見ようが3本見ようが10本見ようがかかる金銭コストは変わらない(電気代は必要だが、無視できる額だろう)。
さらに、同じ動画配信サービスであるYouTubeに至っては、映画ではなくユーザーが投稿したコンテンツにはなるが、広告さえ見ていれば料金は無料である。
この状況で、コストパフォーマンスを云々するのはもはや無意味だ。それより重要なのは、限られた時間をどのコンテンツにどれだけ振り分けるかの判断である。
そうした世界においては、本来面白かったはずの映画はむしろ敬遠されることすらある。

2時間近い時間を一つのコンテンツに投じて、オチが面白くなかったら“大損”だからだ。
それよりは、15分程度のYouTube動画を8本見る方が好まれるのではないだろうか。