ただ宇野は、佐藤の上達したい気持ちを汲み取りながらケガの心配をし、「頑張りすぎです」と自身の体験を交えてくぎを刺す。

クオリティーの高さに驚く宇野

「僕も練習でしてきたことを本番で出すのが難しい時期が長かった。周りから止められるくらい練習に意欲を持っていた時期があり、『本当にうまくなりたい』『そのためには何をするべきか』、ジャンプで自分が理想とする跳び方を考えていた。でも、そうすると失敗に目を向けるようになってしまう」

佐藤の練習を見学する宇野昌磨
佐藤の練習を見学する宇野昌磨

貸し切りのリンクで1時間半みっちり、何度も曲をかけて練習していた佐藤。ステップのときに見せる表現力の高さや、4回転ジャンプなども入念に確認するという練習量と練習で見せるレベルの高さに宇野は驚いていた。

「朝早くからこれだけのクオリティーで高難度ジャンプを跳べるって、思った以上にすごいこと。それがいかにすごいかはスケーターにしかわからない。試合でもっとできてもいいと思う。ただここ(練習)から試合に持って行く練習がまた難しい。僕もそこにすごく悩んで、『みんなにはできるのに、なぜ僕にはできないのだろう』とすごく思っていた。気持ちがわかります」

宇野のアドバイスを受け自信を得る佐藤
宇野のアドバイスを受け自信を得る佐藤

自身の現役時代と同じ悩みを抱える佐藤の力になりたいという宇野は、本番に臨むまでの心構えをアドバイスする。