岩手県北上市の住宅で81歳の女性がクマに襲われて死亡した同じ地域で、新たなクマ被害が発生した。現場からわずか400mの場所でクマが小屋の壁を引っかく被害があった。専門家は「人間の建物に入ればコメが食べられると覚えた」と分析。市は同一個体とみて捕獲わなを増設するなど対策を強化している。地域住民は「本音を言えば駆除してほしい」と不安な日々を過ごしている。
同一地域で続くクマ被害
7月7日午前6時過ぎ、岩手県北上市和賀町山口の住宅で「小屋が壊されていた」と住民から警察に通報があった。

現場を確認した警察は、コメや野菜が入った小屋の壁に引っかき傷があり、クマによる被害と断定した。
この被害が確認された場所は、わずか3日前の7月4日に、住宅の居間で81歳の女性がクマに襲われて死亡した現場から南西に約400mの地点だ。

またこの地域では6月1日から7月7日までの間に、建物に入られたり、コメを食べられるなどの被害を含め、計10件のクマ被害が確認されている。
学習する野生動物の危険性
野生動物の生態に詳しい森林総合研究所の大西尚樹さんは、このクマによる相次ぐ被害について次のように分析している。

森林総合研究所・大西尚樹さん:
この個体にとっては人間の建物に入ればコメが食べられるということを覚えた。次のコメのある所を探して行ったのかもしれない。

7月2日に小屋の中をクマに荒らされた住民は「来ないようにしてもらえればありがたいが、本音を言えば駆除してほしい」と不安な胸の内を明かした。
市の対応と住民への呼びかけ
北上市は7月7日に2回目の危機対策本部会議を開き、一連の被害は同一個体によるものと判断。新たなわなを設置することを決定した。
さらに、わなでの捕獲できなかった場合には銃による駆除も検討しているという。

市は住民に対し「クマは付近にとどまっている可能性があり、戸締まりをしっかりしたり外出は複数人するなど対策をしてほしい」と注意を呼びかけている。
人身被害などを防ぐため地域全体での警戒が続く。
(岩手めんこいテレビ)