「遺品を片付けていると、思わぬところで思い出の品々や現金、貴金属などの資産が出てくることがあります。戸建ての整理を行うと平均4~5万円の現金が出てくるので、その際には遺族の方にお渡しします」

遺品整理業者に依頼すると、遺族の意向で処分すると決まったものでも価値が出そうであれば、リサイクル業者に持ち込んで換金してくれるという。

「釣り竿や盆栽は高値がつきやすいのですが、『価値がわからないから処分して』とおっしゃる遺族の方は多くいます。その際には遺品整理業者が代わりに査定を依頼し、換金した後、その代金は遺族の方にお返しします」

出てきた貴金属は換金してくれる(画像はイメージ)
出てきた貴金属は換金してくれる(画像はイメージ)

個人情報の取り扱いにも気を使っている。特に遺品整理士認定協会が認定する遺品整理士は、故人のプライバシーを守ることを徹底しているという。

例えば作業中に個人の秘密にかかわることを知ってしまった場合、外部にもらさないことはもちろん、必要がなければ遺族にも知らせることはない。

「故人のプライバシーにかかわることには、例えば浮気の証拠写真など、遺族が知りたくないこともありますから」

「追加料金」や「不法投棄」も

遺品整理業者のニーズが高まっている今、悪質な業者も出てきているそう。

「『見積もりの段階では一般的な価格が提示されたため依頼したところ、追加料金が発生し、相場の倍くらいの費用がかかった』という話をよく聞きますが、悪質な業者の典型例です。基本的に、追加金額を請求することはありません」

木村さんが相談を受けた事案の中には、「高額な追加費用を支払えない高齢の依頼人を車に乗せ、親戚や知り合いの家を回って費用を回収させた」という悪質なケースも。

依頼者の弱みに付け込む悪質な業者も(画像はイメージ)
依頼者の弱みに付け込む悪質な業者も(画像はイメージ)

そのほかにも、片付けの際に出てきた現金や貴重品を持ち去ってしまう業者や、査定額を低く伝えて差額を抜き取る業者もいるようだ。

「中には処理費用を浮かせるため、不要品を山や河原などに不法投棄する業者もいます。家族が大切にしていたものが自然の中に廃棄され、景観や環境を破壊していると思うと悲しい気持ちになりますよね」

カギは「見積もり」と「資格」

悪質な業者を回避するために注意すべき点を木村さんに聞くと、「まずは見積もりが大事」と教えてくれた。