親が亡くなった後での遺品の整理は、寂しさが押し寄せるとともに、時間もお金もかかってしまうもの。
できれば親が元気なうちに実家を整理したいと思いつつ、離れて暮らしているなどの理由で難しいことも多いだろう。
一般財団法人遺品整理士認定協会理事長の木村榮治さんによれば、「実は、事前に片付けをしていてもいなくても、業者に頼む際の費用はそれほどかわらない」という。
しかし、それでも、親が元気なうちから一緒に実家を片付けておくことを勧めている。
その理由を詳しく聞いた。
(悪質な業者の見極め方はこちらの記事で紹介)
タオル300本?精神的な負担も
まずは、実家の片付けを行わなかった場合にどのような苦労が待っているか、実例を交えて教えてもらった。
「現代の高齢者の方々は物を大切にする方が多いので、実家の押し入れに大量の家財がしまわれている可能性があります。過去には、200~300本のタオルや50~60枚の座布団、お子さんが小さい頃に使っていた布団が保管されていたというケースもあります」

木村さん自身も、母親が施設に入るにあたって実家を片付けた際に、押し入れから百貨店などの紙袋やいただきものの石けんが大量に出てきたことがあったそう。
微笑ましいエピソードにも聞こえるが、親が亡くなった後に大量の家財が出てくることで、肉体的にも精神的にも負担を感じてしまう遺族は多いという。
「過去に遺品整理の依頼を受けた方の中には、『2年前から片付けを始めたけど、全然整理できなかった』という方もいました。
親の死後は、家財だけでなく財産の整理も行うことになります。相続に関係することは期限があり、早めに対応しなければいけないことも多いため、プレッシャーがかかります。
仕事や子育てをしながら遺品整理も進めなければと考えただけで、気持ちが落ち込んでしまう人もいるでしょう。そうならないため、親が元気なうちに家財の処分方法などを考えることは大切です」
実家整理の時間とコスト
では、親子で実家の片付けを行う場合、どの程度の時間がかかるのだろうか。