脳細胞が十分に元気であれば、アミロイドβやリン酸化タウ、α-シヌクレインなどは分解されて「老廃物」として排出され、それらの凝集も阻止できます。
そうすれば、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の予防にもつなげられるというわけです。
じゃあ、脳細胞を元気にするのに何が必要なのかと言えば、それは「脳の血流を良くして、十分な栄養と酸素を送り込むこと」、これに尽きます。
重さからすると、全体重の2%程度を占めるにすぎない脳に全血液量の15%が運ばれ、全身の酸素量の約20%がそこで消費されているわけですから、血流が良いかどうかは脳にとって死活問題なのです。

認知症とも関連があるのは当然の話で、アルツハイマー型認知症患者や高齢者は、大脳皮質や記憶にかかわる海馬の脳血流が低下していることもわかっています。
つまり、「血管を丈夫に保ち、血流を良くする」という血管性認知症の予防のポイントは、脳を元気にするという意味でアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の予防のポイントにもなり、認知症の9割を予防する最大の秘訣になると言っても決して過言ではありません。

杉本八郎
薬学者、脳科学者。主な著書に『世界初・認知症薬開発博士が教える 認知症予防 最高の教科書』(講談社)、『認知症研究の第一人者がおしえる 脳がよろこぶスープ』(アチーブメント出版)