「親御さんによっては、こっそり通帳や印鑑を貸金庫やトランクルームで保管していたり、貴金属を質店に預けていたりすることがあります。タンスの奥やソファの隙間に現金を隠していたり、ぬいぐるみの中に指輪を入れていたりする方もいます。

資産の保管場所がわからないと、亡くなった後の遺産相続で困ってしまいますよね。気づかずに家具を処分してしまうことも、ないとは言い切れません」

意外な場所に現金や貴重品を隠してあることも(画像はイメージ)
意外な場所に現金や貴重品を隠してあることも(画像はイメージ)

そうならないためにも、親が元気なうちに実家を訪れ、片付けをきっかけにコミュニケーションを取ることが重要とのこと。

「親にやさしくして、何でも話せる関係を築くことが大切です。そのうえで『これは残しておこうか』『これは処分していいよね』と片付けを進めていくと、『実は貸金庫を借りている』などと、資産の在りかを教えてくれるかもしれません」

逆にいえば、片付けが親子のコミュニケーションのきっかけにもなるのだ。離れて暮らしている人こそ、早めに始めたほうがいいかもしれない。

(悪質な業者の見極め方はこちらの記事で紹介)

木村榮治
一般財団法人遺品整理士認定協会理事長。第三セクター社員を経て病院および民間企業などで勤務。親の遺品整理に立ち会った際、整理業者のずさんな対応に心を痛め、2011年、遺品整理士認定協会を設立。2025年3月現在6万人以上の遺品整理士を誕生させている。著書に『遺品整理士という仕事』(平凡社)、『遺品整理士が教える 遺す技術と片付けの極意 家族の負担を減らす生前整理のすすめ』(メイツ出版)など。

取材・文=有竹亮介

プライムオンライン特集班
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