思春期の子供が発症しやすい「起立性調節障害(OD)」。朝起きられない、めまいや頭痛、だるさが起こるなど、症状は多岐にわたる。治療がうまく進まず悩む患者や家族も多いという。「怠けている」などと誤解されるケースもある起立性調節障害について、心療内科専門医のもりしたクリニック院長、森下克也さんが解説する。
どんな病気?ODにまつわる誤解
起立性調節障害というと、一般的には「朝起きられない疾患」というイメージが強いですが、朝起きられないからといって、必ずしも起立性調節障害とは限りません。また、起立性調節障害=低血圧ともよく言われますが、それだけとも言えません。中には血圧が低いだけという患者さんもいますが、血圧が正常でも、めまいや立ちくらみ、気力がないなど、さまざまな不調があらわれるケースがあります。
そうした方がクリニックでもらった血圧を上げる薬を飲んでも改善せず、途方に暮れるという事態を見てきました。このように起立性調節障害はつかみどころのない疾患で、だからこそ悩まれる人が多いのです。

起立性調節障害を一言で説明すると「自律神経の機能不全による身体症状を中心とした疾患」です。小学校高学年から高校生ぐらいまでの子供たちに多く見られます。つまり、ちょうど成長期と思春期が重なるタイミング。
体の様々な機能を調節する自律神経がアンバランスになりやすいのです。加えて、思春期は心も非常に敏感な時期ですから、ちょっとしたストレスや環境の変化が、自律神経に影響を及ぼします。こうした自律神経の不調が症状の主な原因です。
起立性調節障害の患者さんの多くはやせ型ですが、中には運動部で全国大会に出るような体格のよい子もいます。こうしたケースは、自律神経のバランスを乱すほどのオーバーワークが原因です。また、感染症の後に発症する場合もあります。
午後に元気になることが多い
起立性調節障害の患者さんは、学校が始まる朝に症状が出て、午後には元気になることが多いので、「甘えている」「怠けている」などと言われることがあります。しかし、それは誤解です。