「ノシメマダラメイガの幼虫がチョコレートを食べて成虫になるには4カ月くらいかかります。つまり、もしノシメマダラメイガの幼虫がチョコレートの中にいた場合、4カ月くらいずっと中で生きることになるのです」

包装紙の中に成虫の死骸が潜んでいるかも(画像はイメージ)
包装紙の中に成虫の死骸が潜んでいるかも(画像はイメージ)

やがて包装紙の中で成虫となったノシメマダラメイガは、1週間から10日くらいで寿命を迎える。そのまま外に出られずに、「成虫の死骸」が混入した状態になってしまうわけだ。

アーモンドチョコは要注意

「ノシメマダラメイガを寄せ付けないためには、においと侵入を防ぐことが重要」と宮ノ下さん。

そのためには「しっかり密閉して冷蔵庫で保存することが大切」だという。すぐに食べない場合や食べかけの場合は、密閉性の高い食品用保存容器や保存袋に入れ、侵入される隙を作らないようにしよう。

アーモンドチョコはノシメマダラメイガに狙われやすい(画像はイメージ)
アーモンドチョコはノシメマダラメイガに狙われやすい(画像はイメージ)

また、チョコレートの種類によってはより注意が必要だという。

「一番気を付けてほしいのはアーモンドやドライフルーツなど、他の食材と一緒になったチョコレート。このような種類は栄養価がグンと上がり、食べられる確率も高くなります」

このほか、ミルク、ホワイトなどさまざまな原料が加わった比較的「やわらかい」状態のものも要注意。原料であるカカオ成分が高いチョコレートほど好んで食べると思いきや、そうではない。成分が高くなるほどかたくなり、幼虫が噛めないため避けられる傾向にあるそうだ。

ココアパウダーもきちんと密閉して保存して(画像はイメージ)
ココアパウダーもきちんと密閉して保存して(画像はイメージ)

ペースト状や粉状のものの方が幼虫にとってより食べやすくなるということ。ということは、ココアパウダーなども保存に細心の注意を払ったほうがよい。

人間と同様、チョコレートが好きなノシメマダラメイガ。幸いにもバレンタインデーの時期は冬眠中とのことだが、手作りする人は念のため隙のない包装を施した方がよさそうだ。もらった人は早めにいただこう。

そして、警戒すべきは暖かくなってから。ノシメマダラメイガの動きが活発になる前に、一度チョコレート類の保存について見直してみては。

宮ノ下明大
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(通称:農研機構) 食品研究部門 食品流通・安全研究領域 食品安全・信頼グループ 主席研究員。農学博士。貯蔵穀物や加工食品に被害を与える食品害虫の防除技術と食品への混入防止技術を研究。玄米貯蔵施設や食品工場などの現場で使える知識の普及や、防除技術の開発を目指す。

プライムオンライン特集班
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