バレンタインデーの時期になると、百貨店に並ぶ華やかなチョコレート。甘~い香りに誘われ、ついたくさん買ってしまう人もいるのでは。

実は人と同じように香りに引き寄せられて食べてしまう「害虫」がいる。米やトウガラシの害虫としても知られる「ノシメマダラメイガ」だ。

なぜチョコレートに引き寄せられるのか、防ぐ方法はあるのか。その理由と対策について、食品害虫について詳しい農研機構食品研究部門主席研究員の宮ノ下明大さんに教えてもらった。

虫食いでも食べて平気!?

ノシメマダラメイガは、いわゆるガの一種。

ノシメマダラメイガの成虫・幼虫・卵
ノシメマダラメイガの成虫・幼虫・卵
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体長は幼虫で10~12mm、成虫で7~8mm。世界各国に分布し、市街地にも生息する。主なエサは穀類や乾燥した植物など。冬は冬眠しており見ることは少ないが、暖かくなる5月くらいから動きが活発になる。

成虫も幼虫も、チョコレートの香りに引き寄せられるということが実験で確認されているという。

チョコレートを食い荒らすノシメマダラメイガの幼虫(画像提供:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)
チョコレートを食い荒らすノシメマダラメイガの幼虫(画像提供:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)

「チョコレートを食い荒らすのは幼虫です。包装紙の外側に産み付けられた卵がふ化して、袋の小さな穴や隙間から侵入します。幼虫は口から糸を出すため、チョコレートにクモの巣がかかったような見た目になってしまうほか、顆粒状の赤いフンを出して表面を汚します」

宮ノ下さんは、そのような状態のチョコレートを食べても特に健康に問題はないとしている。

「ただ、見た目がそんな状態なので、あまり食欲は湧かないだろうとは思います」

長時間混入しているのが特徴

「さらに怖いことを言いますが…」と前置きして宮ノ下さんはこう続ける。