アメリカ東部ペンシルベニア州フィラデルフィアで1月31日、医療用の小型ジェット機が住宅地に墜落し、飛行機に乗っていた6人全員と、地上で墜落に巻き込まれた1人の合わせて7人が死亡した。
アメリカの運輸安全委員会が事故原因を調べているが、航空機事故の専門家は、何らかのエンジントラブルで機体が制御不能になり、墜落につながった可能性を示唆している。

治療を終えた女児、母親、医師らが搭乗

1月31日午後6時半頃、アメリカ東部ペンシルベニア州フィラデルフィアで起きた墜落事故。

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事故の瞬間を捉えた映像には、突然、大きな爆炎が上がる様子が捉えられていた。墜落したのは小型ジェット機。現場は、住宅が建ち並ぶ地域だった。

目撃者A:
みんなが「伏せろ!」「伏せろ!」と叫んでいた。飛行機が落ちてきて、家や車にぶつかった。

目撃者B:
一瞬の出来事だった。一瞬にしてあのような悲劇が起きて、人々の命が失われた。

現地当局によると1日時点で、飛行機に乗っていた6人、さらに、地上で墜落に巻き込まれた1人が死亡し、少なくとも19人が負傷したという。

一夜明け、現地で話を聞くと…。

近隣住民:
昨日の夜から停電が続き、電気も暖房もつけられない状況です。

近隣住民:
(いとこと)連絡がとれないんです。心配でたまりません。

墜落したのは、医療用の小型ジェット機、リアジェット55型機と判明。ストレッチャーや医療機器が備えられ、患者の長距離搬送などに運用されていた。

搭乗していた6人は全員メキシコ国籍で、フィラデルフィアで治療を終えた女の子とその母親、医師らが、メキシコに帰る途中だったという。

管制官「飛行機が消えた」離陸直後に急降下

管制塔との音声データには、事故前後の緊迫した状況が残されていた。

管制官:
(便名)Medevac Medservice 056。(周波数)123.8。

墜落機:
(周波数)123.8。(便名)Med Service 056。ありがとう、よい一日を。

だが、離陸から約1分後…。

管制官:
(便名)Medevac Medservice 056、こちらノースイースト管制塔。応答せよ。

そして…。

管制官:
飛行機が消えた。何が起こったかは不明だ。

現地メディアによると、小型ジェット機は空港から約5kmの地点に墜落。離陸直後に突然急降下し、地上に激突した。その直前にいったい何が起きたのか?

専門家は「エンジン音」に注目

元国家運輸安全委員会 グレッグ・フェイス氏:
航空機が45度または50度の角度で、機首を下げた状態で、非常に高速で降下するのを通常見ることはない。これはかなり異常です。

そう語るのは、航空機事故調査のスペシャリストのグレッグ・フェイス氏。フェイス氏が注目したのは、エンジン音だ。

元国家運輸安全委員会 グレッグ・フェイス氏:
非常に高い笛のような音。かなり高いエンジン音が爆発の前に聞こえたでしょう。これは非常に高音のエンジン音で、両方のエンジンが非常に高い出力設定で稼働していたことを示しています。

改めて墜落の瞬間を捉えた映像を見ると、墜落直前に高いエンジン音が確認できた。フェイス氏は、何らかのエンジントラブルで、機体が制御不能になり、墜落につながった可能性を示唆した。

元国家運輸安全委員会 グレッグ・フェイス氏:
かなり速いスピードで降下しています。映像からも分かる通り、衝突直前のジェット機の角度はかなり異常です。パイロットが航空機を制御できず、エンジン出力も制御できなかったのではないかと考えられます。

アメリカの運輸安全委員会は、引き続き事故の原因を調べている。
(「Mr.サンデー」2月2日放送より)

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