衆院選では自民党が歴史的圧勝を収めた一方、チームみらいも11議席を獲得。両党の躍進には「次世代投資」を重視する新しいリベラル層の支持が影響したと、専門家は分析している。

比例は南関東ブロック名簿35位も当選

14日、総務省で行われた衆議院選挙・比例代表選出議員の「当選証書付与式」では、村木汀(26)議員が証書を受け取る姿があった。

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なにせ、比例だけで67議席も取ってしまった自民党には、最年少、26歳になったばかりの女性の姿があった。

村木汀議員:
比例14位・15位までの方が当選するというようなことは、なかったことでございますから、私は当選する可能性は低いのではないかと思っていましたので…。

そもそも比例代表14位で、本人すら自身の当選を「予想外」という新人は、秘書が持ってくれた荷物さえ「重いですよね…いいですよ。ごめんなさい。」と気を遣う初々しさだった。

さらに、ママさん議員の岩崎比菜氏(32)に至っては南関東ブロック35位!
本来なら、まず当選はない順位だ。

岩崎氏は「いま事務所の立ち上げを取り組んでいるところですので、睡眠時間をひたすら削って作業に励んでおります」と話す。

まさに“驚きの当選”に、寝る間もない忙しさだという。

一方、新人の長田紘一郎議員は、なぜか証書を縦方向に巻いてしまい、なかなか筒に入れられない。

発足1年足らずで11議席獲得

予想以上の当選ラッシュで、単独で316議席獲得と歴史的圧勝を果たした高市自民だが、付与式会場となった総務省前にはもう一組、予想外の飛躍をとげた集団がいた。

「チームみらい」は、結党からわずか1年足らずで11議席を獲得した

今回、初当選した河合道雄氏は1990年生まれだという。

チームみらい・河合道雄議員:
初めて連絡先がない名刺を手に入れました。(Q.名刺はいつ作った?)昨日、手元に届きまして。交換したのは(Mr.サンデーが)1人目かもしれないです。

一方、その頃、躍進を遂げたチームみらいの安野党首はほくほく顔だった。

チームみらい・黒岩里奈事務本部長:
選挙後のバタバタで雑然と…。

チームみらい・安野貴博党首:
明らかに雑然と…。(Q.めちゃくちゃ荷物が多いですね)まあまあまあ。

チームみらい・黒岩里奈事務本部長:
新しく議員が増えるので。

チームみらい・安野貴博党首:
来週から衆議院会館の方に11人(の新人が)入るので。

その事務所を見ると…。

チームみらい・安野貴博党首:
これヨギボーです。
チームみらい・黒岩里奈事務本部長:
普段はゆったりできるためのスペースなんですが。
チームみらい・安野貴博党首:
ここで(映像を)映して、ここら辺でミーティングするみたいなことはやっていましたね。

普段はこのヨギボーに座り打ち合わせをしているというから、まるでスタートアップのIT企業のようだ。

新しいリベラル層は「成長支援」重視

前回の衆院選では裏金議員と揶揄され落選してしまった人から、新人議員までが続々当選し、「歴史的圧勝」を見せた高市自民党と、これまでの政党政治とは一線を画し「予想外の大躍進」を見せたチームみらいでは一見、水と油に見えるが、実はこの2つにはある「意外な共通点」があったと指摘するのは、膨大な数の社会調査から新しい有権者層を見つけたと語る、北海道大学大学院の橋本努教授だ。

北海道大学大学院・橋本努教授:
今回、チームみらいが躍進し、高市政権が圧勝しました。この2つの現象には、どうも私た
ちが分析した“新しいリベラル”。この社会層の人たちが支持に回ったのではないか。

橋本教授が語る「新しいリベラル」とは、どんな人々なのか。

北海道大学大学院・橋本努教授:
これまでのリベラルは弱者支援型だったんですけれども、新しいリベラル層は次世代に投資するというのに関心がありますので。
まずチームみらいですね。この政党は公約の第一に次世代投資というのを掲げましたので、投票する理由があったと思います。

従来のリベラルが「弱者支援」を重視するのに対し、新しいリベラルは弱者のみならず「成長支援」を重視し、さらには「高齢世代」への支援より「次世代」への支援を重視することが特徴だという

言われてみれば、確かに、チームみらいは…。

チームみらい・安野貴博党首:
私たちチームみらいは、消費税の減税を訴えてはおりません。未来のために投資するといった時に、子育て・教育に投資をしていく必要があります。

あえて消費税はそのままにして、その財源を『子育て世代、次世代への投資』に当てようと訴えてきた。

高市首相も「未来」を強調

一方で…。

北海道大学大学院・橋本努教授:
新しいリベラルは今回、高市政権、自民党に投票した人が半分ぐらいいるんじゃないかというふうに私は推測します。その理由は高市政権が、特に高市さんが街頭演説で『未来』ということを強調したからだと思うんですね。

確かに高市首相も演説では…。

高市首相:
挑戦しない国に未来なんてありません。今がその時、でも今やらなきゃ間に合わない!だから高市早苗は頑張ってます!

積極財政で、いま、強い未来を作ろうと強い意思を示し続ける高市首相。

高市首相:
みんなで、もっともっと日本を豊かな国に、そして将来の希望が持てる国に、そして次の世代に自信を持って引き継げる国にしてまいりましょう!力を合わせてまいりましょう。

そんな“未来の”言葉の数々に、有権者達は夢中になった。

有権者:
何かこっちまで熱くなるような訴え方をしてくるので、僕たちも政治に引き込まれていくようなところがありますね。

「システムごと改善」

つまり、今回の有権者に届いたのはどちらも、これまでの政治とは一線を画す「未来志向」。
その視点で見ると、2つの党の共通点がくっきり浮かび上がる。

チームみらい・黒岩里奈事務本部長:
我々ってすごくよく左なの?右なの?って言われるように、ちょっと捉えづらいと思うんですよね、チームみらいって…。

チームみらい・安野貴博党首:
(今の政治は)右左っていう軸だけでは、到底説明がなかなかできなくなってきたのかなって思ってまして。

チームみらい・黒岩里奈事務本部長:
ある意味エンジニア的な気質なのかもしれないですけども、誰が悪い、誰が良くないよねっていうところを探すよりは、システムごと改善していこうみたいな。

そんな思いが「誰かをおとしめない」「分断をあおらない」「何事も決めつけない」という党の価値観となっている。

チームみらい・安野貴博党首(7日):
既存の政治の業界にいた方、選挙に強い方からは、本当に「は?」と言われました。「敵を作って分断を煽らないと選挙で勝てっこないんだ」と。
だけれども、その考え方が違う人たちとも、建設的に議論をすること、対話をすることを通じて、みんなで、より良い解決策に、より良い結論に至ることができる。私たちは、そう信じております。

当選証書を受け取ったチームみらいの新人も…。

チームみらい・安野貴博党首:
おおおーーー!!
チームみらい・河合道雄議員:
参議院と違いました? 
チームみらい・安野貴博党首:
なんか衆議院の方が豪華な気がするな。めでたいねえ…。これ何書いてあるの?
チームみらい・峰島侑也議員:
これ、住所ですね。
チームみらい・河合道雄議員:
イギリスじゃん、イギリスの住所になってる。

いまだに住所が「London,UK」。
ゴールドマンサックスの出身という峰島氏のような新人の心にも響いたようだ。

チームみらい・峰島侑也議員:
2年ぐらい、私はロンドンににいまして、第2次トランプ政権ができたときに、賛否で社会がすっぱり2つに分かれて。一般的な家族の中とか会社の中で、なにか問題を解決しようって時に、犯人捜しから始まる議論で何か解決することって一般の社会ではないと思って。日本でもより分断を防ぐような政党が必要だと常々考えていて。

チームみらい・河合道雄議員:
家でも?

チームみらい・峰島侑也議員:
家でもそうかな。建設的に解決していくことは家でも大切だと思いますし、家庭円満の秘訣かなと思っています(笑)。

有権者のパラダイムシフト

では、その真逆とも思える保守の王道、「高市自民党」がリーチした「新しいリベラル」とは何なのか。

北海道大学大学院・橋本努教授:
この1〜2年で、特にウクライナ情勢で変化しまして。ウクライナは非核三原則を持った国ですが、どうもアメリカは守らないと言っている。こういった現実を踏まえると…。

そう、従来のリベラルは「非核三原則」や「憲法改正反対」などを堅持してきたというが、近年の有権者は、北朝鮮のミサイル問題や台湾有事に、遂にはウクライナまでもがロシアに侵攻されてしまった現実を見てしまい…。

北海道大学大学院・橋本努教授:
新しいリベラルも、戦争には反対だけれども、防衛力、防衛費の増大に関しては、高市政権を支持するっていう立場にある程度、同意したんじゃないかっていうのが一つの解釈です。

こうした有権者の大きなパラダイムシフトがこれまでの政治に限界を感じさせ、「高市自民」と「チームみらい」を躍進させたのではないかと橋本教授は語る。

安野党首曰く、そもそも、今の国会は「パソコンを国会(本会議)に持ち込みたいので、それはやっぱり院内規則を変えないといけないと…」とのこと。

チームみらいの会議の様子
チームみらいの会議の様子

パソコンすら持ちこみ禁止という中、チームみらいの会議を見ていると、「ナレッジをいっぱい貯めていこうっていう発想のディレクトリがあって、人間がやらなくてもデプロイの様子…」
「テックでレバレッジできるか?」といった会話が交わされていた。

言っていることはチンプンカンプンかもしれないが、これまでとは違う政治をしてくれそうな雰囲気はビンビン伝わってくる。

一方で、高市フィーバーの風に乗り、当選したママさん議員、自民党の岩崎比菜氏も「いま政治の世界というのは、本当に24時間365日働ける人しか政治家になれない。そこに少しでも風穴を開けて、本当に一般市民の感覚が分かる、現場の感覚がわかるような人が、政治の世界に入っていこうとこそが、本当に日本全体のことを考えた政策になるんじゃないかなというふうに思っているので…」と語った。

今回、当選を果たした新人たちは「分断」や「批判」ではなく、「未来」と「成長」を選んだ有権者たちの期待に応えられるのだろうか。
(「Mr.サンデー」2月15日放送より)