熊本市の大西市長は現在進めている熊本市電延伸の事業について「延期も含めて見直す」と1月24日に表明した。2024年1年間で16件にも上った市電の運行トラブルが理由で、大西熊本市長は「安全対策を最優先に取り組む」とした。
「スケジュールを見直すよう指示した」
1月24日の定例会見で熊本市の大西市長は「今後取り組むべき市電の安全確保を確実に実行して、最優先に取り組むため、現在進めている市電の延伸事業については延期も含め現在のスケジュールを見直すよう私から指示した」と話した。

熊本市電をめぐっては、2024年大晦日にも起きた脱線や、ドアを開けたままの走行、赤信号を無視しての走行など、1年間に計16件の運行トラブルが起きている。

一方で熊本市は熊本市電延伸について東区の健軍町電停から熊本市民病院まで、約1.6キロのルート『仮称・東町線』として計画。概算事業費は約141億円、開業予定は2031年度としている。

延伸の実施設計予算4億2000万円については、2024年9月の議会で可決していてその後、市は市民説明会を開催したり、2024年12月には都市計画審議会が延伸に伴う軌道の整備などを了承したほか、2025年度には測量に入る予定で国から交付金の内示も出ている状況だ。
「公共交通の充実より前に安定的運行」
大西熊本市長は「市電のトラブルがあることによって、公共交通の充実が遅れてしまってはいけないと私自身は思っている。ただ、市民の皆さんからは、公共交通の充実よりも前に、安全に安定的に運行できる市電の態勢を一番求められている」と述べた。

大西市長は今後、市議会での議論を注視しながら、一度可決された予算の減額などを判断していく考えを示した。
(テレビ熊本)