熊本市電の運転士など乗務員の正規雇用化をめぐる議論で、熊本市交通局は7月29日に『任期付職員』として雇用する案を明らかにした。熊本市の大西市長は7月に熊本市電乗務員を2026年4月から正規雇用化する方針を表明し、現在その詳細について検討を進めている。
正規雇用化のはずが『任期付職員』案
7月29日の熊本市議会・特別委員会で熊本市交通局は「いったん交通局の任期付職員として採用したい」と述べた。任期付職員は最長5年の範囲で雇用するもので、休暇や福利厚生は任期の定めのない正規職員と同じとしている。

熊本市交通局は、任期の定めのない正規職員とするのが難しい理由として、現在、安全の立て直しを優先し、熊本市電の『上下分離』の議論が中断していることを挙げた。

熊本市交通局は、この先『上下分離』が決定した場合、任期の定めのない正規職員であれば「公務員を辞職し、公社へ転籍することになるが、その同意が得られない場合、分限免職の必要が生じる」など、リスクがあると説明。

任期付職員とした方が、公社化が決まった際の転籍がスムーズで、上下分離しない場合でも改めて「任期の定めのない職員」としての採用は可能とした。
「5年後どうなるか」「不安ぬぐえない」
山内勝志委員は「唐突感がある。任期付きはやりやすいのだろうが、身を投じる側からすると5年後どうなるのかあいまいなら、不誠実だ」と話す。

また、伊藤和仁委員は「受ける側の不安がぬぐえない」と述べた。

熊本市交通局は「無期雇用を目指していることに変わりはないが、現時点で無期雇用にするのが難しい。市電再生プロジェクトで検討を進め、目指すべき無期雇用の常勤職員を見据えて検討したい」と述べた。

熊本市交通局は、次回委員会で任期付職員の期間や、乗務員以外の対象範囲などについて検討し報告する見通し。
(テレビ熊本)