1月13日、宮崎県沖で最大震度5弱を観測する地震が発生。
2日後の15日には、政府の地震調査委員会が「南海トラフ巨大地震」の今後30年以内の発生確率を、これまでの「70~80%」から「80%程度」に引き上げました。

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高まる巨大地震への懸念。
その影響からか、千葉県にある防災グッズ専門店「防災ファーム 行徳店」では、問い合わせが急増。中でも売れているのが、サーマルシートなどの“暖をとれるグッズ”だといいます。

さらに、冬の時期ということもあり、こんな製品も…。

防災ファーム 防災士 平塚智子さん:
「感震ブレーカー」という製品になります。震度5強以上の揺れを感知した際に、ブレーカーを落とすものになっています。
電気ストーブやこたつなど、電熱機器を使っていらっしゃるご家庭が多いと思います。そちらが(震災時に)火元になる場合もありますので。

実は、阪神淡路大震災や東日本大震災で起きた火災のうち、出火原因が分かった火災の7割近くは、電気配線のショートなどによるものでした。
「感震ブレーカー」は、地震が発生した際に、電気火災を未然に防ぐ効果が期待できます。

冬に“巨大地震”の可能性

冬に起きやすいといわれる「地震」。断層や地殻などの分野が専門の、東京大学・辻健教授は、「気象と地震は関係している」と話します。

実際、南海トラフ沿いでは、過去13回大きな地震が起きていますが、そのうち7回が12月から2月にかけての冬に起きています。

冬に大きな地震が起きる傾向にある理由として、「内陸では積雪や豪雨により、地下水がプレート境界付近にたまり、夏より断層がずれやすくなる」「海側は冬に海面が低くなることで、断層に加わる力が弱くなり、断層がずれやすくなる」ということがあげられます。

もちろん春夏秋にも地震は起きていますので、決して油断せず冬以外の季節もきちんと備えと心構えをすることが大切です。

広い範囲で震度6以上を観測し、最大で20m以上の津波がくると予想されている「南海トラフ地震」。内閣府の被害想定を見てみると、「夏の昼間」に起きた場合死者の最大は約12万4000人なのに対して、「冬の深夜」に発生した場合、最大18万6000人の死者が出る可能性が。

さらに、火災による死者は、「冬の夕方」が最も多く、「夏の昼間」に比べて約5倍となると見られています。

危機管理アドバイザー 国崎信江氏(左)
危機管理アドバイザー 国崎信江氏(左)

――なぜ冬の方が被害が大きくなる想定が出ているのでしょうか?
危機管理アドバイザー 国崎信江氏:

やはり、火災が延焼しやすいということがあります。暖房で火を使う家庭が多いことや、空気が乾燥した状態、そして強い北風、こういったことから延焼しやすいと言われていますし、さらに、1月の後半から2月にかけてドカ雪が太平洋沿岸でも地域によっては降ることがあります。そうすると、雪に慣れていないので、避難であったり救助活動に支障が生じる恐れがあると。

冬場の大震災への備え

冬場に大地震が起きたときに、どのようなことに気をつけていけば良いのか。
国崎氏によると、以下の事柄に注意してください。

冬場の大地震への備え(1)「低体温症を防ぐ」
東日本大震災では、津波から逃げられても、雪や海水でぬれたことにより避難先で亡くなるケースがありました。
外出時には携帯用カイロや、黒いポリ袋を持ち歩き、自宅には、アルミブランケットや寝袋を玄関に用意するなど、低体温症にならないことが大切です。

――カイロは分かりますが、黒のポリ袋はどのように使用するのですか?
危機管理アドバイザー 国崎信江氏:

(災害が起きた際に)帰宅困難者になる可能性がある。その際、例えば地面に座るとなると床が汚かったりぬれていることもあるので、そんなときに敷物として使うことができますし、寒いときに襟首を切って頭からすっぽりかぶることで、体温を逃がさないと。
雨の時のポンチョ代わりや、場合によってはトイレの便袋代わりや給水袋の代わりなど、とにかく色々な用途に使うことができるので、45リットルとか75リットルのものが1枚あると便利だと思います。

冬場の大地震への備え(2)「火災を防ぐ」
避難するときには、ガスの元栓を消したりブレーカーを下げたり、自分が逃げた後に火災にならないように努めてください。
もし停電していたとしても、電気が復旧したあとの火災を防ぐために「感震ブレーカー」を取り付ける備えも必要です。

冬場の大地震への備え(3)「感染症にならないために」
冬は夏に比べるとインフルエンザなどの感染症にかかりやすく、避難所などは人が密集するため注意が必要です。
アルコール消毒液・マスク・体温計・ウェットティッシュ・ポータブル加湿器などのグッズを準備しておきましょう。

南海トラフ地震臨時情報が出たときに

南海トラフ沿いで、異常な現象を観測された場合や、地震発生の可能性が相対的に高まっていると評価された場合等に、気象庁から発表される「南海トラフ地震臨時情報」

その後、「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」の臨時会合における調査結果を受けて、最短で2時間程度で、避難が間に合わない地域での事前避難が必要な「巨大地震警戒」や、必要に応じて自主避難の「巨大地震注意」「調査終了」といった結果が発表されます。

――調査を行っている間の2時間にできることはあるのでしょうか?
危機管理アドバイザー 国崎信江氏:

判定中の2時間は、身の安全を守るため海に近づかない、海にいる方は念のため高いところで様子を見る。大きな災害になると停電する恐れがありますから、携帯を充電しておく、車をいつでも動かせるように、ガソリンを満タンにしておく。
買い占めにならない程度に、備蓄の買い出しに行く、あとは家で水をためておくなど、いざというときに生活に困ることをできるだけ準備をしておく。そういったことを心がけて、冷静に淡々とこのような行動ができるように、リスト化しておくということも大切です。

――お金などはどうすれば?
電子マネーがあってなかなか現金を持たないという方が、災害時に困ることもありますので、公衆電話の利用や飲み物や食べ物を買うときも現金が必要になることがありますので、持っておいてください。
(「めざまし8」1月22日放送より)