2024年4月に16年ぶりに熊本県の新しいトップとなった木村敬熊本県知事が、12月27日にTKUライブニュースに生出演して、県政の課題や将来のビジョンについて語った。不安の声がある地下水保全や積年の課題の渋滞問題についてはどう取り組むのだろうか。

1番の木村カラーは『現場主義』

木村県知事就任から8ヶ月がたつ。2023年の年末はまだ県知事選に出馬するかどうか、表明する前の時期だった。この1年を振り返ると。

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木村敬熊本県知事
--早かったですね。本当に早い1年でした。ドタバタで出馬を表明して、選挙まで2ヶ月という短い中で大変でした。

前の蒲島県政を継承する部分と、そうではない部分、いわゆる『木村カラー』というところについてはどのようなものか。

木村敬熊本県知事
--一言で言えば、『現場主義』だと思います。蒲島前知事は私の大学の指導教官であり、世界的に著名な政治学者ですけれども、やっぱりベースが学者なので、机の上で理論を考えること、また自分で考えながら理論を作るのが好きなんですけど、私はむしろ現場に出て県民の人からいろんな声を聞く、または企業の方から声を聞いて、「こういうふうに政策を、こう少しチューニングを直したらいいんじゃないか」とか、現場主義が1番の『木村カラー』じゃないかと思って。まだまだ8カ月のよちよち歩きですけれども、実践してきたつもりでいます。

『現場主義』というカラーが出たが、木村県政になってからの、新たな取り組みをまとめた。木村県知事が知事選で掲げた公約の実現に向け、今までの蒲島県政になかった様々な取り組みを進めてきた。

『地下水保全』『渋滞対策』『こどもまんなか熊本』『くまもとで働こう』『外国人材との共生』と5つの推進本部を県庁内に新たに立ち上げている。そして組織改編では、『食のみやこ推進局』や『国際・くまモン局』を新設している。また市町村に出向き、住民と対話する『お出かけ知事室』などを行っている。これは8カ月ですでに17市町村にわたっている。

半導体産業の集積で課題の地下水保全は

地下水保全について、TSMCの進出に伴って、半導体関連企業の集積が進んでいる。そして12月26日からTSMC第1工場近くに設置された観測井戸の地下水の水位のデータがリアルタイムで確認できる『地下水位の見える化』が始まった。地下水保全についての、木村県知事の思いを聞く。

木村敬熊本県知事
--地下水というのは『熊本県民の宝』です。これを生かしてこその熊本です。地下水があるからこそ豊かな農業もあるし、半導体企業を含めた企業もやってきている。また、地下水自体を『水』にして売るような素晴らしい会社にも立地してもらっています。地下水を守っていくというのは、熊本をこれからのお子さんの世代、お孫さんの世代にも残していくために絶対守っていかないけないものだと思っております。

阿蘇地域での地下水涵養への取り組みは

地下水については、白川中流域で水を地下に蓄える地下水涵養が非常に進んでいるが、その上流域の阿蘇エリアでの地下水涵養については、今後どう考えているのか。

木村敬熊本県知事
--阿蘇地域の自治体の方、または住民の方、農家の方からも、ぜひ阿蘇も巻き込んでくれという相談をいただいていまして、今しっかりとその点のアイディアを進めています。阿蘇で草地とか森を守ることが熊本都市圏の水の豊かさにつながる。これをしっかりお金も循環するようなシステムを来年作っていきたいと思って、実は今いろいろ勉強を進めているところです。
--常に地下水についてはウォッチをしていて、県民の皆さんに情報をお見せして、そして長い目でしっかり守っていく。阿蘇を守ることは世界遺産にもつながりますので、頑張っていきたいと思います。

熊本県と熊本市で取り組む渋滞問題

続いては熊本都市圏の大きな課題、渋滞の問題だ。12月26日に新たな動きがあった。熊本県と熊本市の調整会議が開かれ、木村県知事は大西熊本市長と会議を行い、2025年度から3年以内に熊本都市圏の30カ所の交差点の改良を行うなど、具体的な対策を発表した。

この中でピーク時の交通量を分散させるために、2024年度に県市が連携で取り組んだ時差出勤について、周辺の自治体や民間企業も巻き込み、2025年度中に1万人規模まで拡大して県民運動として定着させるということにした。県民運動となると、ハード面の対策に加えて、県民の理解と協力というものが今後必要になってくるが。

木村敬熊本県知事
--道路を整備すればするほど、車がいっぱい入ってしまうので、もっと渋滞が広がる可能性があります。やはり県民の皆さんが、例えば時差出勤とか、車からバスに変えてもらうことで、渋滞の量が減る可能性があります。今年熊本県と熊本市の職員、それに肥後銀行さんにも入っていただいて、時差出勤をやったところ、交通量が特に県庁の周辺ですと、ぐっと平均化する。
--6時台、7時台、8時台で見ると、7時台、8時台が(交通量が)多いんですけど、(時差出勤を行い)6時台、9時台と同じぐらいになったことによって、ギューッと渋滞の長さが短くなったんです。ぜひ県民運動にしていきたい。そういう企業とか団体とか協力していく人たちを、応援していく制度をつくっていきたいと思っています。

「2025年に具体的なルート含め議論」

一方のハード面だが、中九州横断道路や熊本都市圏の10分・20分構想、いわゆる都市高速の計画も進められることになっているが、どのような状況なのか。

木村敬熊本県知事
--まず中九州道路は今どんどん工事が進んでいます。今回の(国の)補正予算でも20数億円の予算がついて前に向かって進んでいます。これからのポイントは都市高速に近い、10分・20分構想をやることによって、浜線バイパスの渋滞とかを抑制していく効果があるかと思います。今、国と県と熊本市、そして周辺自治体といろいろな今調査を始めています。早いところで、どういう形で進めていくかという座組みを、県民の皆さん、市民の皆さんと相談していく機会を設けたいと思います。
--来年ぐらいにもっと議論が盛り上がるような、具体的なルートとかも含めたところでの議論ができると、もっと盛り上がるんじゃないかと思っています。

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(テレビ熊本)

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